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「「かんぱーい!」」



ゴクゴクとビールを飲む先輩を見て、やっぱりいつもと違う違和感を感じて。



望「先輩…なんかありました?」



と聞くと、やっぱバレたか〜、と眉を下げて笑った。



崇「今日はな、のんすけに頼みたいことがあって誘ったんや。」



望「頼みたいこと…?」



崇「おん。のんすけにしか頼めないことや。」



望「…なんすか?」



そう言うと、さっきまでの笑顔が消えて真剣な顔になった濱ちゃん先輩。



崇「俺な、転勤することになってん。」



望「転勤?」



崇「なんかな、海外の支社に行くんやて。」



望「海外!?えっ!?」



崇「びっくりやんな〜(笑)!


俺もうぇっ!?ってなってん(笑)。」



そう言ってひとしきり笑うと、ビールを1口飲んで、ほんでな、と話を続けた。



崇「俺、Aと別れてん。」



望「……え?」



海外転勤、よりも俺にとって衝撃の言葉に



何も言えずにいる俺をよそに話を続ける先輩。



崇「いろいろ考えてん。これからのこと。


海外に行くってなって、いつまであっちにおるかもわからへん。


かと言って、あっちにAを連れていくのもちゃう気がして。」



望「……」



崇「俺、嫉妬深いんよ。自分でもわかってんねん。


やから、俺じゃAを幸せに出来ひん。


……だからな、のんすけ。」



望「っ……」



崇「Aのこと、宜しくお願いします。


俺が幸せに出来ひんかった分、あいつを幸せにしてやってくれへんか?」



そう言った先輩の顔は、Aさんを思い浮かべているのか穏やかで、



俺は何も言えず、涙を堪えることしか出来んかった。



崇「なんでのんすけが泣くねんな(笑)。


もう、新しく好きな人おるんか?」



望「…いませんっ。でもっ…」



崇「なら、頼んだで。他に頼めるやつ居らへんもん。」



そう言うと、優しく笑ってビールを飲んだ。



望「…おれっ、先輩のこと、裏切っ…」



崇「のんすけ。」



望「……」



崇「昔のことは昔のこと。


それにAの心はとっくに俺にはなかってん。


俺が縛り付けてただけやねん。」



よし、この話はおしまいや!と言うと



泣きじゃくる俺の頭をぽんぽんと撫でた。



そんな先輩に、俺は一生敵わんなと思った。

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作者名:櫻宮未紀 | 作成日時:2018年1月10日 17時

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