◆22◆ ページ22
・
・
自分の家の最寄りに着いても雨は思っきし降っとって、
傘の意味もあらへんな、なんて思いながら家へ急ぐ。
マンションに着いて、エントランスでスーツについた
雨を拭こうと思っていたら、
びしょ濡れになった女の人がしゃがみ込んでいた。
夜ってこともあってちょっと怖いな、なんて思いつつ
望「…あの、大丈夫、ですか…?」
と無視することも出来なくて声をかけると
その人はぴくっと肩を揺らしてゆっくり顔を上げた。
その顔を見た瞬間、時間が止まった気がした。
そこにいたのは紛れもなく、俺が会いたくて仕方のなかった人で。
1ヶ月振りに見た彼女は少し痩せていた。
そんな彼女にいてもたってもいられなくて
買ったもんやら傘やらをほっぽり出して
小さく震えている彼女を抱きしめた。
あ「…こたき、くん…」
望「Aさん…会いたかった…」
そう呟くと、濡れちゃうよって俺から離れようとする
Aさんをもっと強く抱きしめる。
望「濡れるとかそんなんどうでもええ…」
そう言うと、いつものように眉を下げて笑う。
でもその笑顔がいつもよりもぎこちなくて、
望「とりあえず、部屋行きましょ。
Aさん、風邪ひいてまう。」
そう言って、さっきほっぽり出した物を拾い、
片手でAさんの手を引いて自分の部屋へ向かった。
201人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:櫻宮未紀 | 作成日時:2018年1月10日 17時