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自分の家の最寄りに着いても雨は思っきし降っとって、



傘の意味もあらへんな、なんて思いながら家へ急ぐ。



マンションに着いて、エントランスでスーツについた



雨を拭こうと思っていたら、



びしょ濡れになった女の人がしゃがみ込んでいた。



夜ってこともあってちょっと怖いな、なんて思いつつ



望「…あの、大丈夫、ですか…?」



と無視することも出来なくて声をかけると



その人はぴくっと肩を揺らしてゆっくり顔を上げた。



その顔を見た瞬間、時間が止まった気がした。



そこにいたのは紛れもなく、俺が会いたくて仕方のなかった人で。



1ヶ月振りに見た彼女は少し痩せていた。



そんな彼女にいてもたってもいられなくて



買ったもんやら傘やらをほっぽり出して



小さく震えている彼女を抱きしめた。



あ「…こたき、くん…」



望「Aさん…会いたかった…」



そう呟くと、濡れちゃうよって俺から離れようとする



Aさんをもっと強く抱きしめる。



望「濡れるとかそんなんどうでもええ…」



そう言うと、いつものように眉を下げて笑う。



でもその笑顔がいつもよりもぎこちなくて、



望「とりあえず、部屋行きましょ。


Aさん、風邪ひいてまう。」



そう言って、さっきほっぽり出した物を拾い、



片手でAさんの手を引いて自分の部屋へ向かった。

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作者名:櫻宮未紀 | 作成日時:2018年1月10日 17時

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