検索窓
今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:27,719 hit

◆20◆ ページ20








あれからAさんの作ってくれた手料理食べて、



いつも以上に優しいAさんと身体重ねて。



行為の最中に、Aさんは名前呼んでって強請ってきて、



そんなかわいい我儘はいくらでもきけるけど。



Aさんのことが好きだっていう



俺の本当の気持ちは言えへん。



それがもどかしくて悲しくて、



行き場の無い想いは、消化することも出来ずに



自分の胸に募っていく。



望「…急に呼んでもうてごめんな。」



あ「ううん、大丈夫だよ。」



望「今日も帰らんとあかんよな…?」



そういうと、眉を下げてごめんね。と小さく呟いた。



そしていつもの如く、駅までAさんを送り届ける。



あ「…小瀧くん、」



望「ん?」



あ「あんまり、無理しちゃだめだよ。」



望「……おん。」



あ「たまには息抜きも必要だから。」



ね?と言うAさんの優しい言葉に



視界が滲むのを必死に隠して返事をする。



あ「…じゃあ、そろそろ行くね。」



そう言って改札を通り抜けて、



振り返りざまに笑って手を振るAさんに、



望「……また。」



と小さく手を振った。



先輩のとこに帰らんといて。



俺のそばにおって、どこにも行かんといて。



ほんまに伝えたい言葉を静かに飲み込んで、



最終電車に向かうAさんの背中を見つめた。

◇21◇→←◇19◇



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
201人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:櫻宮未紀 | 作成日時:2018年1月10日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。