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必死に仕事を定時で切り上げた俺は、



この前行ったファミレスに急いだ。



中に入ると既にAさんは席に座っとって



俺を見つけると、ふんわり笑って手を振ってきた。



望「遅なってすいません。」



あ「ううん!私も今来たとこ。


それより急に誘っちゃってごめんね?」



望「いえ、嬉しかったです。」



そう言うと、よかった、と笑った。



そして前のようにドリンクバーを頼んで



一緒に飲み物を取りに行く。



Aさんはココア、俺はコーヒーを入れて席に着く。



そして、ふと疑問に思ったこと。



望「そういえば、この前ぼくブラックコーヒー


入れたんですけど、Aさんブラック飲めます?」



あの時、話メインやったからあんま飲んでなかったんか、



それとも飲めへんから飲んでなかったんか気になって。



すると、Aさんは笑って、



あ「わたし、ブラック飲めないの。


でも小瀧くんの気持ちが嬉しくて。」



この前のはちょこっと飲めた!と言った。



そんないつでも相手を思いやるAさんに



きゅーっと胸が苦しくなる。



20歳越えたいい大人が、



こんなに恋焦がれることがあるんや。



って自分にびっくり。



たわいない話をして、飯を食って。



ほんま普通の友達と一緒やん。



これなら後ろめたくもなんともあらへん。



ちゃんとお友達としておれるやん。



そう思っとった。それまでは。



そろそろ帰ろか、ってファミレスを出て



駅に向かって歩き出したら、



さっきまでの元気が無くなったAさん。



不思議に思って、Aさん?と声をかけると、



あ「…もう少しだけ、一緒にいたい…って言ったら、


小瀧くんは困る…?」



と眉を下げながら俺の目を見つめてきた。



その目を見て、俺はもう抑え込んどったものが



一気に溢れでてきて。



望「…どういう意味か、わかっとります?」



あ「…小瀧くんがいいなら。」



望「後悔…せぇへん?」



そう言って、Aさんの目を見ると、



俺を見つめ返して頷いた。



こうして俺は踏み込んではいけない所に



足を踏み入れてしまった。

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作者名:櫻宮未紀 | 作成日時:2018年1月10日 17時

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