忘れないでその声を ページ41
｢A､おいで｣
優しい声で母が呼んでいる､行かないと｡
でも母はもう…
あぁ､これは夢か｡
記憶の中から消えかけている声を聞いてそう思った
人間は人のことを忘れるとき一番最初に声を忘れてしまうと何かで読んだ
きっと本当なんだろう実際に今､大好きだった母の声を忘れかけていた
ベットから起き上がりカレンダーを見ると日付は母の命日になっている
外は昨日までの吹雪が嘘のように晴れ渡っていた
そういえば母は晴れ女だったっけ｡
どんな小さなことでも母と関連付ける自分に呆れてしまう
もう子供じゃないんだ現実を見ろ
｢A､部屋入るよ｣
｢そう言いながらもう入ってるじゃん…おはよう､かるてっと｣
部屋に入ってきたかるてっと｡
今回も仕事で札幌に来たらしくうちが部屋を貸している
｢おはよ､でも三十分前にも声掛けたんだよ？｣
｢まじ？気づかなかった､今日のご飯なに｣
｢焼き鮭｣
｢超好き｡｣
｢俺は？｣
笑顔を向けてくる彼の横を通り抜けてリビングへ向かう
後ろから無視かよ｡と悲痛な叫びが聞こえてくる
｢｢いただきます｣｣
｢今日用事あるから家で一人ゆっくりしてて｣
｢分かった掃除していい？｣
｢ゆっくりしててって言ったんだけど……もう好きにしたら｣
泊まらせてもらってるのに申し訳ないだろうと目で伝えてきたので拒否するのは諦めた
ご飯も食べ終わり身支度も済ませ家を出るとき
玄関まで見送りをしてくれる此奴には伝えておこうかなと口を開く
｢今日さ…母さんの命日なのだから一緒にっ…｣
｢うん､一緒に行こう｣
｢ごめん泣くはずじゃ…｣
｢A､おいで｣
夢で聞いた母の言葉を彼が優しい声でうちを抱きしめながら言う
それでより一層涙が溢れてくる
｢泣いていいよ｣
｢ねぇ､もう一人にしないで…｣
｢しないよ､Aの側にいる｣
子供みたいに泣きじゃくって彼の肩元を涙で濡らしてしまった
落ち着いてから母の墓に向かうと誰か先に来ていたのか線香の匂いが漂っている
二人で墓に向かい手を合わせ目を瞑り心の中で母に話す
大切な人がたくさんできたんだ｡
これからは前を向いて歩くから下なんか向かないって決めた
だから母さん見てて､うちのこと見失わないように｡
じゃあね､いつかまた逢う日まで忘れないでいて
｢ん､お話出来た？｣
｢うん｡そうだ朝の話｣
｢朝？｣
｢お前の声忘れたくないぐらい好きだよ｣
母と君のことは絶対に忘れたくない､味方でいてくれるから｡
虎の威なんて借りたりはしない→←猫を追いかけると兎を見つけた
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李天(プロフ) - 天雨さん» 私の拙い文章で天雨さんの元気を出すことができ嬉しいです｡応援ありがとうございます！ (2023年3月27日 22時) (
レス) id: 82c62f24cf (このIDを非表示/違反報告)
天雨(プロフ) - この作品を読んで元気が出たような気がします。応援してます。 (2023年3月27日 17時) (レス) id: c9eb151fc4 (このIDを非表示/違反報告)
李天(プロフ) - ゆとりさん» ありがとうございます！もう少し続くので楽しんでいってください (2022年2月5日 21時) (レス) @page38 id: 82c62f24cf (このIDを非表示/違反報告)
ゆとり(プロフ) - 完結お疲れ様でした！ (2022年1月30日 21時) (レス) @page39 id: 71fcf47086 (このIDを非表示/違反報告)
李天(プロフ) - るるさん» 遅れてすみません！コメントありがとうございます頑張ります (2021年12月5日 20時) (レス) id: 82c62f24cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：李天 | 作成日時：2021年10月3日 22時
