心の中の花に栄養を ページ24
店中に漂う甘い香り｡
誰もがその香りに食欲を掻き立てられる
席に座った客は皆､笑顔だ
その様子は向日葵畑のように美しい
この光景が見たかったのだと店内を見渡して微笑む
すると向かい側の席に座っていた彼が話しかけてきた
｢びんとろ民がAのこと経営者だって知ったら驚くだろうね｣
｢びんとろ民がはこたろさんがうちのこと好きだって知ったら驚くだろうね｣
｢ちょっと､揶揄わないでよ｣
｢ごめんね？意地悪したくなっちゃった｡｣
｢こっちは本気で好きなんですけど…｣
ムスッとした顔で呟いた彼に申し訳ないなと思いながら運ばれてきたパンケーキを頬張った
食べていると彼と目が合いニコッと笑いかけられる
笑い返すと彼が頼んだパンケーキも運ばれてきた
｢あれ？店長じゃないですか｣
｢お疲れ様｡我ながらここの店美味しい｣
｢当たり前ですあなたのお店ですよ？それで今日はデートですか？｣
｢えぇ､デートです｣
｢そうでしたか｡では楽しんでくださいね｣
｢ありがとうございます｣
店員が質問すると彼は満面の笑みで即答する
嬉しそうに言うのでその場で否定しようにもできなくて口を開けなかった
｢一回目のデートもAの店だったね｣
｢偶然にもペアルックっていうね｡それと昔､知り合う前から会ってたのも奇跡だよな…｣
｢確かに奇跡だね…やっぱり僕にしない？｣
｢これのどこがいいの？｣
｢前にも言ったでしょ全部だよ｣
そう言う彼の目があまりにも真っ直ぐで思わずたじろいでしまう
店で交わされる話し声がどこか遠くで鳴っているような気さえもした
｢そっか…ありがとうでもまだ答えられないや｣
｢知ってるよそんなこと｡でもそれも含めてだから僕の思いは｣
先程とは違い優しい目で見つめてくる彼は寂しそうだ
そうさせているのは自分だということに
申し訳なさと､自分に埋もれていく彼への独占欲が湧いて仕方がない
心の中の花畑は萎れたものばかりだ
いっそ自分を愛してくれる人達に自分の醜さを嘲笑して欲しい
誰かこの甘やかされて育った植物に手を伸ばしてくれるのならば
黒い歴史も少しの愛でできている→←正夢でありますようにと願う君
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
李天(プロフ) - 天雨さん» 私の拙い文章で天雨さんの元気を出すことができ嬉しいです｡応援ありがとうございます！ (2023年3月27日 22時) (
レス) id: 82c62f24cf (このIDを非表示/違反報告)
天雨(プロフ) - この作品を読んで元気が出たような気がします。応援してます。 (2023年3月27日 17時) (レス) id: c9eb151fc4 (このIDを非表示/違反報告)
李天(プロフ) - ゆとりさん» ありがとうございます！もう少し続くので楽しんでいってください (2022年2月5日 21時) (レス) @page38 id: 82c62f24cf (このIDを非表示/違反報告)
ゆとり(プロフ) - 完結お疲れ様でした！ (2022年1月30日 21時) (レス) @page39 id: 71fcf47086 (このIDを非表示/違反報告)
李天(プロフ) - るるさん» 遅れてすみません！コメントありがとうございます頑張ります (2021年12月5日 20時) (レス) id: 82c62f24cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：李天 | 作成日時：2021年10月3日 22時
