狐日和

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八年前






御三家






長い歴史のある由緒正しき家柄






禪院家、五条家、加茂家






相伝の術式や才能があれば厚遇され、なければ冷遇される…謂わば生まれてくる時に運があるかないかのどちらかで将来が変わっていく






俺の場合は前者で、術式とちょっと良い目を持ったというだけで他の人間からちやほやされている






が、蓋を開ければ愛情もクソもない空っぽの関係






それを幼いながらにして理解した俺は、当然の様に性格が曲がった







そんな中、年に何度か行われる御三家や名家との会合…所謂互いの近況報告







という名のご機嫌取りの為に大人達は仮面をつけ、御三家をヨイショする場所







女は将来、立場の良い旦那の隣で偉そうな態度を取る為に媚びへつらうお見合いパーティー会場







つまり俺が言いたいのは…全員クズだってことだ！








暑くもないのに黒に塗られた様なムーンと湿気た空気が部屋全体を覆っている







この空間には反吐が出そうな程汚れた人間しか居ない







気持ち悪いな…今日食べたご飯が口から出るんじゃないかと錯覚する……実際出ねぇけど







そんなことを思いながら、使用人にお茶を要求したその隙にこの空間から出てやろう







そう思い足を動かそうとしたが、それは願う事なく誰かとぶつかりそのまま盛大に尻もちをついた







｢…痛ってぇな！前も見えねぇのか！｣







この時から俺は誰にでも傲慢な態度を取っていて…







後に、俺馬鹿なクソ野郎じゃねぇか！と自分を罵る程に後悔してしまうのを幼少時代の俺は気付きもしなかった







｢ごめんなさい…前、見えなかった｣








これが雪さんとの出会いであり、お互いの第一声の会話だった




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