桜姫～桜姫と雪原の皇子～ (ページ9)

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７話ページ9

「うわあああぁぁでっかぁいい！！」

円堂達によって再び集められた雷門イレブンを乗せた船が桜島の港に着くと

いの一番に塔子が船から降りて、視界一杯に広がる桜島を前に感動の声を上げた

「なんか人が沢山走ってるス」

「マラソンか何かやってるのかな？」

「けど走ってる奴ら皆高校生くらいじゃねーか？」

続々と船から降りてきた壁山達は一段と大きくなった桜島に感動しつつも

自分達の前を走り抜ける運動着姿の学生達に疑問を抱く

『ああ。たぶん地元の高校の持久走大会だよ』

「持久走大会って、あの持久走大会？」

「普通学校のグランドでやるものでは？」

『鹿児島では高校によっては桜島の周りを走るんだ』

「この山の周りって…何キロあんだよ…」

「そういえば、船で渡ったこの海を泳ぐ学校もあるんだよね」

『うん。ごく一部だけどね』

「鹿児島の学校って結構スパルタな感じ？」

「俺稲妻町育ちで良かったデヤンス」

「お、俺もっス～」

『スパルタかな？』

鹿児島独自の教育形態に動揺する雷門メンバーを櫻が呆然と見ていると

ふと後ろから一ノ瀬が聞いて来た

「櫻、あの人達の持久走大会？はいつ終わりそうなの？」

『走ってる人数的にたぶんあと数十分で終わるんじゃないかな』

「何かやりたい事でも思いついたのか？」

片方の眉を上げそう訊ねた鬼道の質問に一ノ瀬は

ボールを片手に皆の方を見て真剣な顔で言った

「せっかくなんだしさ、ここでサッカーやろうぜ！なんてね」

「ここで？」

「サッカーを？」

「櫻、パス！」

『えっ…』

突然名前を呼ばれたかと思えば、すぐさまボールを蹴り渡された

ボールが櫻の足元に届いた時、一ノ瀬は既に通行止めされている車道の上を走っていた

「二人一組！先に此処にゴールしたチームの勝ちだよ！
行くぞ櫻！！」

『あ、うん』

一ノ瀬の独断で始まったパスリレー競走

初めは他のメンバーも困惑していたが、

一ノ瀬の意図を汲み取った鬼道や土門を先頭に次々とチームが組まれ

本格的に勝負が始まった。

「どうすれば、櫻は吹雪以外との連携がとれる…」

「ボールコントロールがダメダメって訳では当然ないもんな…」

「…意外と単純な話。
もっと俺達の事知ってもらえれば、櫻との連携も上手くいくんじゃないか？」

「その為のパスリレーか…」

船の上で三人で話していた事を思いだしながら

土門とパスを繋げていく鬼道はそう呟いた

「確かに単純。けど、やる意味はありそうだな」

「あぁ」