桜姫～桜姫と雪原の皇子～ (ページ8)

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６話ページ8

「ここに居たんだね」

『士郎…』

広がる大きな湾岸の堤防の上に座り

目の前の大きな桜島を見つめていた櫻に

彼女を見つけた吹雪から声をかけられた。

彼女の左隣に座ると吹雪は彼女と同じように桜島を眺めた

「あれが昔君がよく話してくれた桜島だよね。
想像してたのより何倍も大きくて驚いたよ」

『…ん、士郎と一緒に見られて嬉しいよ』

「僕もだよ」

少しの間

2人の間に防波堤にぶつかる波の音だけが響く

『…一つ、聞いてもいい？』

「うん。いいよ」

『どうして、其処にアツヤがいるの？』

吹雪に一言断ってから櫻は体を彼の方に向け

右手を彼が身につけているマフラーに当て、そう問うた

「あはは、やっぱりバレちゃった…？
んーと話すと長くなるんだけどー」

「おーい吹雪！櫻ー！！」

いたずらがバレた子供の様に笑った吹雪が櫻に長い話をしようとしたその時

タイミングがいいのか悪いのか、遠くから二人を呼びながら円堂が近寄って来た。

「キャプテン…塔子さんと鬼道君も」

「なあ櫻、どうにかして向こうまで行けないか？
塔子がどうしても行きたいってさ」

そう言って円堂が指さした方向は、見るまでもなくさっきまで櫻と吹雪が見ていた桜島だ。

「だってせっかくこんな近くまで来たんだよ！
もっと近づかなくちゃ損じゃん！」

「近くに船が出てればいいんだがな」

『？、船ならあそこにあるけど』

鬼道の言葉を受けて櫻が指をさし三人に示した方向には

大型の立派な造りの船が港に停まっていた。

「あれが、か？」

「ウソ？！アタシてっきり離島に行く為の船かと思ってた！」

『それも時間によってはあるけど、
あれは桜島とこっちとを往復してる船だよ。
今くらいの時間ならまだ出てるんじゃないかな？』

「でもお高いんじゃ…」

『たしか２００円くらいだったかな』

「安っ！！」

「それだけであれに乗れんの？！」

『あでもキャラバンで乗るってなると結構高くなる…』

「よし！じゃあ早速皆で行こう！！
俺壁山達呼んでくる！！」

「私も秋達呼んでくるー！！」

櫻が伝えたいことを言い切る前に

円堂と塔子はそう大声を張り上げながら観光のため散ったメンバーを探しに走り出した

「…という事だ。俺も一ノ瀬達を探して来る。
吹雪と櫻は先にイナズマキャラバンで待っていてくれ」

1人冷静にその場に残った鬼道は

そう堤防の上に座る2人に言い、静かにその場を去った。

『…面白い人達だね』

「でしょ」