桜姫～桜姫と雪原の皇子～ (ページ3)

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２話ページ3

「いくよ」

『！』

突然ボールを蹴り走り出した吹雪

虚をつかれ反応が少し遅れたが、すぐに少女は彼の横を並んで走った

吹雪から少女へボールが渡される

走りながらも難なくそれを受け取った少女は

ゴール前で吹雪へと高いパスを放った

吹雪が首に巻くマフラーをギュッと握り小声で何かを呟くと

彼の表情と雰囲気は荒々しいものに一変し

彼の周りに冷たい空気が吹き荒れ始めた

「エターナルブリザード！！」

『？！』

強力な必殺シュートが無人のゴールに突き刺さる

『…エターナルブリザード』

「お前スッゲーな！！！」

『！』

「さっきのリフティングもだけど！今の吹雪との連携も！
なんつーかこう…スゲーーな！！！」

『あ、えと…』

「キャプテン、落ち着いて」

藪から棒にやってきた円堂の怒涛の勢いの賞賛に少女がたじろんでいると

穏やかな雰囲気に戻った吹雪が仲裁に入った。

『…士郎』

「何だ？知り合いか？吹雪」

「うん。幼馴染だよ。
小さい頃一緒にサッカーしてたんだ」

「ホントか？！お前もサッカーするんだな！！
もしかして”最強のＭＦ”櫻Aってお前か？！」

『最強のＭＦ？
櫻Aは確かに私の名前だけど』

「やっぱり！」

「僕達は君を探しに来たんだよ」

「俺、お前と凄くサッカーがしたい！
なあ！俺達の雷門イレブンに入ってくれよ！！」

『雷門イレブン…』

吹雪を間に挟みながら円堂が少女の勧誘を進めていると

少しだけ少女の目つきが鋭くなった。

「僕達は今地上最強のチームを作りエイリア学園を倒す為、仲間を集めてるんだ。
そしてAちゃん、君の力も貸して欲しい」

「”最強のＭＦ”であるお前の力があれば俺達はもっと強くなれる！
櫻、一緒にサッカーやろうぜ！」

少女へ円堂から手が差しだされた。

その手を一度見てから少し間をおいて

少女、櫻Aはその手を握り返した。

2人の手が離れた後、今度は吹雪から少女へ手が差し伸べられた

「また一緒にサッカーやろうね、Aちゃん」

『…うん』

その手を握り返した少女は

数年ぶりに顔を合わせる幼馴染の顔をじっと見て、

そして彼が首に巻く使い古されたマフラーに視線を落とした