〔暗殺教室〕Ｅ組の暗殺者 (ページ12)

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２１０時間目ページ12

パシャッという音と共に背後からフラッシュがたかれた

「君！あの怪物が立て籠っていた椚ヶ丘の生徒？！」

「もしかして君も件の怪物の被害者？！」

「怖かったでしょう。
さ、思いの丈を全部ぶつけて」

『…』

どうにもいつもの様に抑えられない、感情の昂りを感じながらも

仰せのままに全部ぶつけてやろうかと左足を一歩引いてソイツらの方を向こうとした時

突然頭の上から大きめのコートが被せられた。

「悪いが。これ以上許可のない椚ヶ丘の生徒への取材をやめてくれないか」

被せられたコート越しに誰かに頭を抱えられると

聞き慣れた凛とした声がすぐ近くで聞こえた。

『浅野君…』

「行くよ。A」

彼の名前を呼ぶと、

浅野君は小声でそう言って優しく私の背中を押しながら移動を始めた

後ろから取材陣が大声で浅野君を責め立てているのが聞こえる

しかしそれは、これまたよく知る大人の人の声によって静かになった

理事長先生が後日会見を開くという一言でその場を収めた事によって。

コートをかけられたまましばらく浅野君と歩いてふと立ち止まると

浅野君に乗ってと言われ、前を見ると

見たことのある車が後頭部席の扉を開けて停まっていた。

『…』

私は黙ってその車に乗った。

つづいて浅野君も車に乗り隣に座った。

コートはまだ掛けられたままだ。

『…』

「…」

暫くの間、2人だけしか乗っていない車を沈黙が包む

「待たせたね。さ、行こうか」

そこへ理事長先生が来て前の助手席に座りながらそう言った

同じタイミングで運転手の人も運転席に乗ってきた。

『どこに、ですか…』

なんだか弱々しい声を出しながらも理事長先生にそう聞くと

理事長先生は前を向いたまま少し考えた後言った

「君の家まで送る」

『結構です…！』

失礼だと分かっていながらも

反射的についそう言葉を吐いてしまった

「…。つもり、だったのけれど、
また先程の様な事に巻き込ませる訳にはいかないからね。
もし有栖川さんがよければだけど、今晩はうちに泊まっていかないかい？
ご両親へは私の方から話をしておくよ」

『…そんな、めいわ』

「迷惑ではない。生徒を守る事は学校側としての義務だ」

理事長先生の提案を断ろうとしたら

横から浅野君に言葉を遮られた。

「もしうちに泊まらない、家にも帰らないというのなら
君の身の安全の為にも僕が君の側にいよう」

『！…』

コートの隙間からチラリと隣りを見ると

彼の真っ直ぐで力強い目と目があった。