５５歩目 ページ6
轟side
「あんなに生い茂ってた木が、全部倒される…」
「コレ全部、アイツがやったのか…」
「スゲー…」
「おそらく、先程の”カベ”は私達を巻き込まないために
蓮郭さんが先に手を打ったのですわ」
「…人間わざじゃねえぜ」
「っ…クソがっ」
蓮郭の”カベ”によって遠くに追いやられいた俺たちは、
目の前の、次々と木が倒され更地と化した所を見ながら
唖然としていた。
そんで、ソレを作りあげた当の本人は、
まだ、空の上に…
「おい！アレ蓮郭じゃねぇか？！」
「ウソっ落ちてきとらん？！」
「危ねぇ！」
「！」
いると思っていたが、
蓮郭は、気を失ったように
空高くから真っ直ぐに地面へと向かって落ちてきていた
俺は”氷”で足元を滑らせながら
落ち続けるアイツの元へ急いで向かい
地面とぶつかるギリギリのところですくい上げた。
「カッケー！轟！」
「轟くん！さすがだよ！！」
「Aちゃんの様子は？！」
後ろから麗日にそう聞かれ、
俺は改めて両腕で抱えている蓮郭の容態を確認した
ソイツは、スヤスヤと寝息をたてながら
安らかな顔で寝ていた。
「…大丈夫だ！今は寝てるだけだ！」
「！、轟くん！前！！」
後ろの皆に蓮郭の無事を伝えると、
緑谷がこちらに向かって走ってきながら
慌てた顔をしているのが目にうつった
「！…っまだ出てくんのかよ」
緑谷の注意を聞いて、前を見ると
さっきまで散々倒してきた土くれの魔獣が
一匹、俺達に襲い掛かろうとしていた。
俺は咄嗟に左手をその魔獣へのばし”炎”をソイツへぶつけた
そして炎に焼かれたソイツは倒れた。
けど、その後ろで、他の魔獣がうじゃうじゃと集まり
こちらを狙っていた。
「…ッ」
蓮郭のおかげで、
目の前の視界が開けて、いくらかは戦いやすくなった
けど、コイツを抱えながら
遠くに小さく映るゴールまで行くのは骨が折れそうだ…
「轟さん！蓮郭さんは私がお預かりいたしますわ！
轟さんは、緑谷さん達と共に魔獣退治に専念してくださいまし！」
この窮地の脱し方を色々と考えていると
後ろから駆けてきた八百万が俺の隣で膝をついて
両手を前に出しながらそう言った。
「ああ。頼んだ」
「轟くん、行こう！」
「ああ！」
八百万に蓮郭を託した俺は、
俺たちの横を走り抜けた緑谷に続いて
”氷”や”炎”を使って、
キリがないくらいに次々と出てきやがる
土くれの魔獣たちを倒しながらゴールである合宿所へと急いだ。
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作者名：雪 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/nomura
作成日時：2021年8月6日 11時
