９２歩目 ページ43
「えー、皆さん。
長いことお疲れさまでした」
二次選考終了から数十分後。
会場だったフィールドに選考を受けた１００名が
制服に着替え再び集まり、
進行の人の話を聞きながら、
結果発表待ちをドキドキしながら、待っている。
そして、減点方式で採点された二次選考の合格者が
進行の人の後ろのモニターに表示された。
『…ほっ』
５０音順に表示されている合格者一覧表に無事名前を見つけ、
私はほっと息をついた。
「Aちゃんあった？！」
『うん。麗日さんも？』
「うん！！よかったよぉ！！」
お互いの合格を喜ぶように
すごい勢いで抱き着いて来た麗日さんを
私も抱き返した。
「…」
ふと、近くにいる轟くんの様子を見た。
彼はずっと口を閉じながら、モニターを見ていた。
同じ騒動を起こしたイナサくんが落ちたと言っていたから、
おそらく轟くんも落ちたのだろう…
あと、なぜか…まあ、素行の問題だろうが、
爆豪くんも落ちたようだった。
すると、イナサくんが轟くんに謝罪をしに来た。
「ごめん！アンタが合格逃したのは、
俺のせいだ！俺の心の狭さの！！ごめん！！」
轟くんはすこし俯くと、
目線を上げ、身体を頭を地面につき続けているイナサくんに向けて言った
「元々俺がまいたタネだし、よせよ」
「けどっ」
「お前が直球でぶつけてきて、気づけたこともあるから」
周りのＡ組の皆は、意外な人物の落第に驚いていた。
その後、
採点の詳細が書かれたプリントが各自に配られた。
『…』
「Aちゃんはなんて書いてあったん？」
『…全体的に個人行動が目立ったって』
「え？！辛口！」
『まあ、雑なところもあったと思う』
敵退治に急ぎすぎて
被災地の対応が途中雑になってたし…
「…そっか。これから一緒に頑張っていこう！！」
『うん』
そして、
進行の人から最後の話を聞き終え、
私たち試験合格者は
新しく発行された顔写真付きの免許証を貰って
其々の学校のバスに乗って帰っていった。
「…蓮郭」
『ん…？』
窓の外の夕焼けを見ていると、
左隣に座る轟くんが声をかけてきた
「その、わるかった…」
『…あー、まあ気にしないで。
被害は出なかったんだし』
「けどそれはお前が…」
『ふぁ…それよりまた肩かりていい？
ネムイ…』
「…」
『…。大丈夫だよ。
ヒーローになるんでしょ…』
「！…ああ」
そうして私は轟くんの右肩に自分の頭を置かせてもらって
眠りについた。
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作者名：雪 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/nomura
作成日時：2021年8月6日 11時
