６９歩目 ページ20
入院してから何日かたった
右半身の自由がまだあまりきいていない
そのせいか、気をきかせてくれた病院の人が
私のべっとのとなりに車いすを置いて行ってくれた…
左半身の力を頼りに
上半身を持ち上げる
外に太陽の光はなく
暗い空に月だけがひかっている
いろんなものを支えに車いすに乗る
ずっと起きていると、ヒマなんだ…
ぶきようながら車いすで部屋を出ようとするとき
たまたま入ってきた看護師さんと会って
屋上に行きたいと言ったら、
一瞬だけ驚く表情をしたが、
進んで車いすをおして、連れて行ってくれた。
誰もいないエレベーターに乗っている間に
ねんのため、看護師さんに私の”個性”の話しをして
あなたがしんぱいしていることは起きないと説得した。
そうして、屋上について
看護師さんに頼んで一人にしてもらった。
包帯に覆われていないところに
ゆるやかな風があたる
しょうじき、いま、あたまが回っていない
病院で目をさましてから
わたしは、一度もねむりについていない
そして、それをみかねた病院のせんせいが
ミッドナイト先生をこんやよんでくれたそうだ
『・・・』
「俺だって悔しいさ！心配さ！当然だ！！
俺は学級委員長だ！クラスメイトを心配するんだ！！
爆豪くんだけじゃない！！」
ずっと下から
聞き覚えのある声が聞こえた
車いすを前へと動かし
金網の塀越しに下をみる
病院のいりぐちのまえに
Ａ組の５人がいた
『・・・』
いったん、空へとかいだんをのぼり
うしろでしずかに見守っている看護師さんを安心させるように
一歩一歩ゆっくりと彼らの方へ階段を下りていった。
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作者名：雪 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/nomura
作成日時：2021年8月6日 11時
