ケムリ

おまけの〇 ページ24

'小話。









佐伯「えっ！えっ！ほんま！？」


『すごいなぁ..バリうけとったもんな...』


佐伯「いやー、あのネタ初めて見たとき泣きながら笑ったわー」


『私も』


佐伯「うそつけや、お前どの漫才見ても表情筋ひとっつも動いてなかったやろ」


『でも、ほんとに面白かった』


佐伯「ほんまなー、来年は俺らも出よか？」


『そやな、考えよか』


今年のM-1は私達テンデンスはエントリーしなかった。


それも、上方漫才大賞で新人賞を取れず
新人奨励賞で終わってしまったため。


去年と今年、M-1にエントリーしなかったのは、その上方漫才大賞に集中してしまっていたから。


ネタを書いている私は、見てくれてる人たちの心を掴むのはどんなネタなのか悩みに悩んでいた。


結果2019年の上方漫才大賞も、テンデンスは2年連続新人奨励賞。


新人賞はミキの手に渡った。

同じNSCではないけれど、相手は同期。

こっちもこっちで、余裕なんて無かった。



♪〜


『...あ、ちょっとトイレ』


佐伯「おう」




『もしもし』


「もしもーし」


『お疲れ様でした。面白かったですよ。』


「ほんまに？はーあ、なんか泣きそうやねんけど」


『盛山さんからなんて珍しいやないですか』


「まあな、リリーに言われてん」


そう言った盛山さんの隣で


「すまんなぁA」と聴こえた。


リリーさんの少しくぐもった声に胸が締め付けられた。




『私はずっと応援してるんで。』



「せやなぁ、また頑張らなあかんなぁ！リリー！」


「..おん、Aちゃん、、そっち帰ったら抱かせて」


「あたおかやないかお前それは」


なんだ、いつもの見取り図さんやんか。

少し。ほんの少し安心した。


『リリーさん、あたおかです。』




例え彼等がどんな結果に残そうと

例え同じ舞台に立ってライバル同士になろうと


私は彼等を応援し続けよう。

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