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翌日の非公式練習は、氷の状態と音の響き方だけを確認するために参加した。
国際試合ということもあって、練習時間はそれなりに確保してもらえているけれど、その全てに参加するとそれなりに体力を持っていかれる。
本番にピークを持っていけるよう調整しなければならないし、適度に休養は必要だ。
さっとんとはその初練習で落ち合うことができた。
怪我明け初の試合らしかったけれど、以前と変わらない様子に私は安心した。
「もう大丈夫なの？」
「うん。完治してるとは思う。あとは試合の感覚を取り戻さないとって感じかな」
さっとんと話すときは他愛もない話題が多かったから、試合について話せていることが何だか新鮮だった。
「っていうかあれ観たで、ファンタジー」
不敵な笑みを浮かべながらさっとんは言った。
「観たの？ あれ」
「もちろん。めっちゃ綺麗やった。これでやっとみんなが知ってくれるんやなって」
ファンタジーオンアイスに出る前から、さっとんは私のことをすごく応援してくれていた。
いつかアイスショーや試合に一緒に出れたら、と話していたし、さっとんが神谷コーチに「そろそろですよね？」と選手デビューを煽ってもいたのだ。
「Aと試合に出れるなんて感慨深いわ」
そうさっとんは笑ってくれた。
「ん。私も」
大会であることを忘れてしまうくらい、柔らかで落ち着いた空気感の中、初日の練習を終えた。
「明日は午後の練習だけ参加でいいか？」
コーチからの問いに「はい」と頷く。
明日は午前中を休養に充てて、午後にフリーのプログラムを曲かけかな。
明後日がショートだからショートのプログラムも練習したいけれど、そうすると競技当日の朝練でしかフリーの練習ができないので、その前に曲を流しておきたい。
特に何の不安要素もつっかえもなく、会場をあとにした。
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作者名：たこやき | 作成日時：2023年3月11日 12時
