ウタカタノオト3 (ページ3)

今日:17 hit、昨日:3 hit、合計:7,000 hit

#3 ページ3

.

エキシビションとは試合後に行われるアイスショーみたいなもの。

簡単に言えばそんな感じ、とコーチは放った。

基本的には入賞した上位の選手が、お客さんの前で採点関係なく自由に演技するという。
それに備えて、トップ選手はあらかじめエキシビション専用のプログラムを用意したりするらしい。

好成績を残す体でプログラムを作るなんて、なんとも強気なアスリートらしい思考回路だ。

「で、Aの場合はファンタジーオンアイスのときに使ったプログラムがあるから、それをエキシのナンバーとして採用するのもありなんだけど」

「へぇ、そんなこともできるんですね」

「そうそう。ただお前、ショーの時点で同じプロを滑るのに飽きてたからちょっと不安もあるんだよなあ」

「ショーとエキシビションはまた違うんじゃないですか」

あのときは3日間連続で同じ流れだったし、それを事前にちゃんと把握していなかったのだから仕方ない。

「んー、まあ試合用プロも然りだけど、同じ演目を滑ることには慣れた方がいいだろうな」

1年目の新人に「慣れろ」だなんて、無茶な話だ。
慣れていないから新人であるのに。

「他の人は飽きないのかなあ」

「それこそ小さい頃から同じプログラムを毎年練習してる訳だから、飽きる飽きないもないかもな」