ウタカタノオト3 (ページ1)

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〈グランプリシリーズ2017〉#NHK杯ページ1

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グランプリシリーズが開幕した頃、連盟から一報が入った。

“自国開催枠として、NHK杯に招待する”

宛先は他でもない自分だった。
無事正式に、目標にしていた大会に出られることが決定した。

確かさっとんも出る、というようにコーチから聞いていたので、嬉しさを覚えた一方である疑問も浮かんだ。

「本当に、直前まで出場するの確定してなかったんですね」

コーチからは「出る」としか聞いていなかったから出るつもりでいたけれど、まさか出られない可能性もちゃんとあったなんて。

もし招待されなかったらどうするつもりだったのだろう。

「確定してなかっただけで、俺はお前を是が非でも出すつもりだったけど」

「コーチはその気でも、今回みたいに招待の通知がこなければ出られなかったじゃないですか」

自国開催枠で、ということは他のスケーターとは違う道筋で出場するのだと思う。
羽生さんやさっとんが出るような大会に参加するのだから、当たり前と言えばそうなのだが。

こんなにとんとん拍子で試合を迎えられるものなのか、とどこか他人事のような気もしている。

「でも事実、お前は招待されてるだろ？」

勝ち誇ったような表情のコーチを前にすると、何も言えなくなる。

なぜこんなにも自信を持ち、揺るがずに、思うままに行動できてしまうのか。

思えばコーチに教わりたての頃からそうだったような気もするけれど、それが善行に感じないのも不思議なものだ。