ウタカタノオト２ (ページ9)

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さっきは流してしまったけれど、そういえば2018年って冬季オリンピックの年なのか。

帰りの車に揺られながら、運転してくれるコーチの隣で花織ちゃんの言葉を反芻(はんすう)する。

どこでやるのか忘れたけれど、来年に向けて、みんな今シーズンの試合で結果を残さなきゃいけない、頑張らなきゃいけないときなんだろうなあ。

……ん？ “頑張ろう”ということは、私もその中に入るということなのか。
今年やっとデビューするシーズンなのに、そんなのあり得るのだろうか。

あれ、と思い、それに関して「もしかしてコーチは知ってたんですか」と訊くと「現役スケーターのコーチなのに知らないとかあるか？」と返ってきた。

確かに、考えてみればコーチは知っていて当然か。

急にショーに出演させて人前に出させたのは、そういうシーズンを、闘い抜こうという計画もとい計算だったのだろうか。

「私、聞いてなかったんですけど」

「あぁ、そういえばそうか」

私は小さくため息をつく。

「何の目標も持たずにやってきた私が、夢を追いかけてきたみんなと試合に出るんですか？」

「嫌なのか？」

「嫌っていうか、申し訳ないっていうか」