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#再会 ページ15

「……羽生さん」

練習終わりのAちゃんは、明らかに俺を見て怪訝(けげん)と厭悪(えんお)の混じった表情を浮かべた。

そんな分かりやすく顔に出すかよ。
約1ヶ月ぶりの再会を喜んだのは俺だけだったか。

寂しいような苛立たしいような気持ちが湧き上がってくるのに気づいて、外に出てこないよう抑え込む。



忘れもしない今年のファンタジーオンアイス神戸。

図らずも彗星の如く現れ、知らぬ間に消えた彼女の行方。
それが気になっていたのは自分だけではなかったことをSNSが示した。

ショーに訪れた人達が自身のSNSで彼女について投稿したのだ。

ほとんどのコメントは演技についてやはり肯定的だったし、神戸のみの出演だったから、一部の人からは「見たかった」という声も上がった。

と言っても、やはり無名であったからか、根強いスケオタの間では情報がすぐに広がったものの、ネットニュースなどで取り上げられるほどではなく、噂は沈静化していった。

今季がオリンピックシーズンであることも大きいのだろう。
マスコミはそこにまで手を伸ばしている暇がないという判断なのかもしれない。



当のAちゃんは何も変わっていない様子だ。

「久しぶり。元気にしてた? てかここで練習してたんだね。知らなかった」

少し間が空いてから返事がきた。

「変わらずです」

Aちゃんは表情を変えないまま俺の目を離さない。

「もしかして午後からのスケーティングレッスン、Aちゃんも出るの?」

「はい」

「誰かからの招待? ここのレッスンすぐに枠が埋まるからあまり公にしてないと思うんだけど」

「あぁ、ジスランコーチから、です」

「ジスランってジャンプコーチの? そっか、Aちゃんもここのクラブと繋がってたんだね」

「まぁ……はい」

相変わらず、そっけない返事である。

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作者名:たこやき | 作成日時:2022年9月18日 20時

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