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【番外篇】永遠に ページ34

寒空の下

長髪の男が独り言をつぶやきながら墓場を歩いていた


「やれやれエリザベス

俺はおにぎりは梅干し以外食わんといったのにツナマヨはないだろ。
仕方ない、墓にでも供えておくか」


供えられた墓には
〔高杉晋助之墓〕と文字が彫られている。

その隣には九条Aの墓。


浄水をかけ線香をたて、一通りの墓参りが終わり桂は腰を下ろした。


「…貴様のような悪行三昧の愚か者は地獄へ向かうが定めだ」


墓に向かって桂は話始める。


「…だがAに会えるところへいったというのに
会いにいかぬのは

貴様が犯したどの悪行よりも許されぬことだ」


彼女を幸せにせねばこの桂小太郎が許さぬからなと少し声を震わせて言葉にした。


「それに俺も入れといてくれよ」


後ろからやってきたのは銀髪の男。


「あやつは責任重大だな」

「あたりめーだ。
俺らのかわいいAに一足先に会いに行きやがって」


悪態をつく銀時も腰を下ろしAの墓に手を合わせる。


「…今頃会えてるかねぇ」

「珍しいな。お前が黄泉の世界に想いを馳せるのは」


願わずにはいられねーよ、と桂にはわからない言葉が勝手に出てきた。


『一人きりは寂しいですから』


Aが最後に俺に言った言葉はそれだった。


長い間独りにさせちまった俺達の仲間、A。


「…寂しい想いなんてさせんじゃねーぞ」


高杉の墓に向かって声をかけた。

その墓には鈴蘭が供えられていた。
Aの墓にも同じように供えられている。


「この季節に鈴蘭?
どこの花屋にあんだよ」

「異星での技術で咲かせたらしい。
貴様の近所に屁怒絽とかいう天人が花屋をやっていただろう、そこで買った」


あの二人に似合うと思ってな


そう話すヅラはいつものリーダーの威厳ある表情ではなく

二人の幸せを願う穏やかな表情をしていた。


「さあ、幾松殿の店でもいくか
腹も減った頃だろう」

「いいけどお前のおごりな」

「なんでだ!
貴様この前も俺に奢らせただろ!!」

「相弟子の仲じゃねーか
ゴチになりまーす」


二人の言い合いは店に着くまで続いた。


こんな会話ができることが平和というなら



どうか永遠に──────







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設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , 死ネタ   
作品ジャンル:アニメ
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ポテト(プロフ) - とても素晴らしい作品でした。作っていただきありがとうございます。 (2022年8月2日 1時) (レス) @page35 id: becea61854 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» 中学生はとても感情が複雑でそれに受験が重なると苦しいことが多いかもしれませんがあまり気負わずご自身が出せる力を出して自分に合った場所を探せるといいなと思います。疲れたらいつでもひまわりの彼女に会いにきてくださいね! (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» たくさんの作品にたくさん感動していた側の自分が新しく作品を作りあの頃の私のように感動してくださる方がいらっしゃるのはとても感慨深いです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» 愛情こもったコメントありがとうございます。嬉しすぎて泣いてしまいました。私もみーこさんのように読み漁っていた時期があり一通り読んだ後にもっとあんな設定でこんな文章の作品が読みたいと考えるようになったのがこの小説の執筆を始めたきっかけです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - やっぱり素晴らしいですね。花言葉のエモさを理解したし、色んなことを教わった作品。ボロ泣きした夢小説は少ないんですけど、そのひとつでした。今どうかはわかりませんが、この作品は永遠に不滅だと思ってます。銀魂が終わってもまた、訪れさせていただきます。 (2020年10月28日 21時) (レス) id: 322bb6492e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年8月14日 23時

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