【番外編】メールを送る人 ページ21
面長な人が少し遠くにいた。
白い丈の長いコートを纏い、旧式のケータイを高速で叩いている男性。
コートの縁には黄色い刺繍がされており、気品のある雰囲気だった。
あの格好土方さんが着ていた制服に似てる....ならあの人は警察...?
じっと白い警察の男を見ていると不意にこちらを見て言った。
「今、目が合いましたね
メル友になりませんか」
☆
メール好きだと話す異三郎さんは由緒正しい家柄で警察庁長官にまで上り詰めたそう。
「暗殺部隊から引き抜いた子を副長にしましてね。少々殺したがりで手は焼きましたが今では立派に警察庁長官をしているんですよ」
自身のことはエリートととしか話さない彼が、その少女のこととなるとよく舌が回る。
その姿は先ほどのエリート長官ではなく自分の娘を自慢げに話す父親のようだった。
「.....そういえば貴女、高杉晋助と旧知の間柄だそうですね」
「えっ......どうして貴方がそれを...」
突然の言葉に動揺を隠せないAを見て異三郎は多少口角が上がり楽しんでいるようだった
「私も警察でしたから攘夷浪士の親類縁者、親しい間柄の者ぐらい調べます。
それに私と鬼兵隊は協力関係にありましたから」
警察と鬼兵隊が....?
敵対するはずの二つがどうしてそうなったのか。一般人にわかるはずもない。
「確か長い間静かな田舎で暮らしていましたよね。なら世の理を知らないのも無理はない。
警察も攘夷浪士も世界の黒い部分を知っているのは同じなのですよ
それに私は彼の思想に共感したんです」
メールを打ちながらもそう話す異三郎さんの目は正義の警察ではなく、人生の中で大きく大事な何かが奪われたものだった。
それは最期に会った晋助さんの目と似ている。彼もきっと私が知らないどこかで大事なものを失った。
警察と攘夷浪士
その2人が協力関係になったのはお互い大切な何かを失くしたからなのだろう。
「私が若い頃は侍が侍でいられるかわからない混沌とした時代でしてね。
死ぬ直前も前将軍が毒殺され次期将軍は新時代を築こうと恐怖政治を行った国の行く末がわからない不透明な時代でした。」
聞いているだけで震えてくるような暗雲で覆われたような時代のことを話してくれた彼に勝手に口が動いてしまった。
「罪悪感はありませんでしたか。
そんな時代に大事な人を残していってしまって」
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ポテト(プロフ) - とても素晴らしい作品でした。作っていただきありがとうございます。 (2022年8月2日 1時) (レス) @page35 id: becea61854 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - みーこさん» 中学生はとても感情が複雑でそれに受験が重なると苦しいことが多いかもしれませんがあまり気負わずご自身が出せる力を出して自分に合った場所を探せるといいなと思います。疲れたらいつでもひまわりの彼女に会いにきてくださいね! (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - みーこさん» たくさんの作品にたくさん感動していた側の自分が新しく作品を作りあの頃の私のように感動してくださる方がいらっしゃるのはとても感慨深いです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - みーこさん» 愛情こもったコメントありがとうございます。嬉しすぎて泣いてしまいました。私もみーこさんのように読み漁っていた時期があり一通り読んだ後にもっとあんな設定でこんな文章の作品が読みたいと考えるようになったのがこの小説の執筆を始めたきっかけです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - やっぱり素晴らしいですね。花言葉のエモさを理解したし、色んなことを教わった作品。ボロ泣きした夢小説は少ないんですけど、そのひとつでした。今どうかはわかりませんが、この作品は永遠に不滅だと思ってます。銀魂が終わってもまた、訪れさせていただきます。 (2020年10月28日 21時) (レス) id: 322bb6492e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴 | 作成日時:2018年8月14日 23時