曖昧 me mind

vol.9 ページ9

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「だから、俺がミスして怒られまくってるって話！
……でもまぁ、それですぐに投げ出したら「これだから最近の若いもんは……」とかまた言われちゃうんだから文句も言えないんだけどさ！」

「はは……大ちゃんも大変だねぇ。」


ほんとだよー！と言いながらへらへら大ちゃんが笑う。
でも大ちゃんは面白くて明るくて、みんなの弟みたいな愛されキャラだからなんだかんだ会社でも上手くやってるんだろう。


「……あ、そうだ！今日はこれ買ってきたよ！」


がさごそと紙袋を漁る大ちゃん。
じゃーん！なんて効果音を自分で言いながら、取り出したのは駅前のプリン。


「おお！ありがとう！……って、二つ買ってきてるし。一緒に食べる気満々だろ！」

「へへ、バレた？プリンは俺も大好物だからさ〜！伊野ちゃんが食べてるとこ黙って見てるなんて無理だと思って！」


……最近太ってきた！とか言ってたくせに。
プラスチックのスプーンを袋から取り出していただきまーす！と手を合わせる大ちゃん。


「伊野ちゃん食べないの？」

「……俺さっき晩御飯食ったばっかりなんですけど。」

「えっ！マジで！あちゃあ……失敗失敗。」


なんて言いながら大ちゃんはプリンを頬張る。
くそ！もっと太れ！そんでまた太ったどうしよう〜！とか泣けばいい！


「やっぱ美味しいね、ここのプリン。」

「ん、そうだね。俺食べてないけどね。」

「ごめんって！今度はおやつ時に持ってくるからさ！」


おやつ時、なんて言うけど、大ちゃんはその時間仕事だし。
忙しいのに合間を縫ってこうやって来てくれるだけでもありがたいことなのに。


「ねぇ大ちゃん、ありがとね。」

「ん〜？何が？」

「……いや、なんかさ。大ちゃんが俺の親友で良かったよ。」


素直にありがとう、と伝えたら、何伊野ちゃん気持ち悪い！と悪態をつかれた。
けどそれが、照れ隠しだってこと知ってるから。


「……また、来てね。」

「もちろん！毎日でも来たいぐらいだよ！」


心から、大ちゃんが親友で良かったって思ってるよ。

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