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vol.33 ページ34

そもそも薮さんにはこんな状況はありえないだろう。
彼は元気だし、こうして暇で無意味な時間を過ごすことすらないだろう。


自分に対する理不尽や不満があるようにも思えないし。
笑顔が特徴的な、優しくていい人。


そんな彼を取り巻く環境は、きっと素敵なんだろうなぁ。
たくさんの人に信頼されて、たくさんの大切な友達が居て。
人を大切にするから、人からも大切にされて。


それが少し、羨ましい。



俺はこの白い部屋から出られない。
出る事が出来ても、門の外には一歩も踏み出せない。


でも薮さんは違う。
自分の足でどこにだって行ける。
綺麗な景色も、美味しいプリンも、全部自分で―――。



『青空日和』
彼のブログのタイトルにもなっている青空は、今日は姿を現さないようだ。
厚い雲に覆われて、振りだした雨にため息を漏らす。


梅雨だから仕方ない、そう思う事にしてベッドから抜け出す。
そしてカーテンを勢いよく閉め、再びベッドに戻ろうとしたその時。



「………っ。」


チクリとした痛みが走って、咄嗟に胸を押さえる。
そのまましゃがみこんで、痛みが去るのを待つ。


「…た、かき………。」


ボタンを押せば来てくれるのだろうけど、今は立ち上がることが怖い。
深呼吸を繰り返し、少しずつ回復してきたところでボタンを押し、高木を呼んだ。




























「……そんな悪いんだ、俺。」


雨は相変わらず止むことを知らなかった。
いつもより暗い病室は、太陽が出ていないせいじゃない。



「ご両親とも相談しないといけないんだけどね……手術、近いうちにすることになると思う。」

「……うん。」


回復とまではいかずとも現状維持を保っていたはずの俺の体はいつしかマイナスに傾いていたようだった。
手術の話は前々から聞いていたが、少し体力がついてきて、なおかつ体調が安定してきた頃にと言われてきた。


そのままでも生きてはいられるが、病院の外で生きていくためには手術が必要なのだという。


だけどその話は、もっと先のことだと思っていた。



「原因は何なの?」

「それは……ごめん、俺には分かんない。担当医の先生に聞かないと。」



申し訳なさそうに俯く高木を見ると、俺は悪い子なんだなと思えてくる。
こうやって周りの人を巻き込んで不幸にして、最後には何が残るんだ?


その日から、薮さんとの連絡もしばらく取れなくなった。

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天凪(プロフ) - サクラさん» このような形になってしまい、本当にすみません…!これからも頑張りますので応援よろしくお願いします! (2017年3月6日 8時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - そうだったんですねぇ、これからも頑張って下さい!! (2017年3月5日 19時) (レス) id: d7def24883 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 萌伽さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません!これからも頑張ります。温かい応援よろしくお願いします! (2017年3月5日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
萌伽(プロフ) - とても面白いです!! こんな文章かけていいなと思います、 これからも更新頑張ってください! (2016年10月3日 9時) (レス) id: 4cef1c3763 (このIDを非表示/違反報告)
乃海(プロフ) - Jokerさん» ありがとうございます!頑張ります〜!<(_ _)> (2016年4月3日 10時) (レス) id: 99f0b4f5e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のみなぎ x他1人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年4月1日 0時

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