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vol.32 ページ33

side 慧


あれから薮さんと頻繁に連絡を取り合うようになった。
最初はお互いに遠慮してなかなか連絡を取れなかったけれど一日に一回は必ずメールのやりとりをするし、長時間は駄目だけど時間が合えば電話もするようになった。



いつもは文字で見ていた彼の言葉を、直接この耳で聞くことが出来るのは何だか新鮮で。
内容は他愛ないものなのに、何故か心が落ち着く。


だけど残酷な現実は、俺に幸せな夢を見ることを許さなかった。





「伊野尾くん、今日は安静にね。」


高木にそう言われ、大人しくベッドに入る。
朝起きた時から何となく頭がクラクラしていた。
貧血かな、と疑っていたまでは良かったもののそれは一向に引く気配がなかった。


薮さんと連絡を取り合うようになってから、毎日が少し楽しくなった。
同じことの繰り返しの中に、一つの希望を見いだせたような気がした。


だけど体はそれとは反対に、元気がなくなっていった。
今までは普通に食べ切れたご飯も、今では少ししか喉を通らない。


「それと、これ。」


高木がポケットから何かを取り出して、俺に差し出す。
俺は手を伸ばし、それを受け取る。


「……あ。」


そう、それは砂が入った小さなガラスの瓶だった。
以前、海が好きだという高木の話を聞いたときに俺がお願いしたものだ。
軽く瓶を振ると、さらさらと砂が動くのが綺麗で、小さく微笑む。


「流石にまだ入れないけど、この間の休みに行ってきたんだ。それで良かった?」

「うん、ありがとう。」

「どういたしまして。それじゃあ、何かあったら呼んでね。」


高木はそれを言い残して部屋から出て行った。
俺は小瓶を眺めた後、ベッド横の台の上に置いた。
その時に、ふとカレンダーが目に入る。



6月22日。
俺が誕生日を迎え、ひとつ歳を取るこの日。
その日まで俺は果たして生きていられるのだろうか。


ネガティブなことを考えてはまた嫌気が差してくる。


ここ最近で、俺は一気に変わってしまった。
体調は不安定だし、ご飯は喉を通らない。
大ちゃんが買ってきてくれる、あの駅前のプリンだって気持ち悪くなる。


……こういう時、薮さんならどうするのだろうか。
どんなことを考え、どんな行動を取るのだろうか。


それをふと考えて、首を横に振る。

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天凪(プロフ) - サクラさん» このような形になってしまい、本当にすみません…!これからも頑張りますので応援よろしくお願いします! (2017年3月6日 8時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - そうだったんですねぇ、これからも頑張って下さい!! (2017年3月5日 19時) (レス) id: d7def24883 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 萌伽さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません!これからも頑張ります。温かい応援よろしくお願いします! (2017年3月5日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
萌伽(プロフ) - とても面白いです!! こんな文章かけていいなと思います、 これからも更新頑張ってください! (2016年10月3日 9時) (レス) id: 4cef1c3763 (このIDを非表示/違反報告)
乃海(プロフ) - Jokerさん» ありがとうございます!頑張ります〜!<(_ _)> (2016年4月3日 10時) (レス) id: 99f0b4f5e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のみなぎ x他1人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年4月1日 0時

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