vol.26 ページ27
『コメントに返信がありました。』
ディスプレイに映し出された文字を見て、急いで起き上がった。
一人しかいない病室で一人でソワソワ。
一刻も早く返信を読みたくて、画面を開いてコメント欄まで一気にスクロール。
『アオさんも都内ですか!奇遇ですね。あそこのプリン、本当に美味しいですよね。
元気をもらっているのはこちらの方です。実は最近どうしても悩んでいることがあって…。そんな時にアオさんからコメントを貰って「こんな僕でも誰かに元気をあげられるんだな」って思ったんです。本当にありがとうございます。』
いつもより少し長めの、fineさんの返信。
彼の言葉をそのままそっくり返したい。
こんな俺でもfineさんの助けになれたのだ、と。
その助けが彼にとってどれだけ些細なことでも構わない。
誰かをほんの少しでも救えたという事実が、俺の心の支えになった。
ここ二週間ほど、彼のブログは更新されていなかった。
それが彼の言う「悩んでいること」なのだとすると納得がいく。
……正直に、話してみようかな。
実際に今までそうしようとしたことは何度もあった。
この白い四角い箱の中から出られない俺にとって、彼の見せてくれる世界は箱の外の世界。
俺の知らない、綺麗な世界だ。
だけど怖かった。
もし俺が全てを打ち明けたとして、fineさんに拒絶されたら。
それが原因で、彼のブログを読むことができなくなったら。
返信欄のカーソルのチカチカを何度も繰り返す。
何度も迷って、ようやく決めた。
全てを、話そう。
fineさんが俺に言ってくれたように、俺もちゃんと伝えよう。
その事実が、また彼を救うことが出来るなら万々歳だ。
『いえ、感謝を伝えるのはこちらの方です。実は今、僕は入院しています。怪我ではなく、病気で。病院からは出られないのでfineさんの見せてくれる外の世界がキラキラしていて、本当に元気を貰えるんです。感謝してもし足りないほどです。』
完成した文章を見て、やっぱり重いかもしれないと考える。
だけどここで消してしまえば、いつもの俺と変わらない。
きっと後で後悔するだろう。
仮にもネットの向こうの人に送るべき文ではないだろう、と。
だけど今ここで送信しなければ、俺はきっとこの先も送れない。
送信ボタンを押すのに、これほどまでに躊躇ったことは無い。
それでも意を決してボタンを押す。
『送信しました。』
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天凪(プロフ) - サクラさん» このような形になってしまい、本当にすみません…!これからも頑張りますので応援よろしくお願いします! (2017年3月6日 8時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - そうだったんですねぇ、これからも頑張って下さい!! (2017年3月5日 19時) (レス) id: d7def24883 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 萌伽さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません!これからも頑張ります。温かい応援よろしくお願いします! (2017年3月5日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
萌伽(プロフ) - とても面白いです!! こんな文章かけていいなと思います、 これからも更新頑張ってください! (2016年10月3日 9時) (レス) id: 4cef1c3763 (このIDを非表示/違反報告)
乃海(プロフ) - Jokerさん» ありがとうございます!頑張ります〜!<(_ _)> (2016年4月3日 10時) (レス) id: 99f0b4f5e8 (このIDを非表示/違反報告)
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