vol.21 ページ21
「俺、左利きだから影の斜線が皆とは反対になるんだよね。」
出会ってから半年。
すっかり意気投合した俺達は、静かな湖畔に来ていた。
湖を見てその様子を絵にしてスケッチしている光の隣で、俺はその情景をメモに取り作詞活動の糧にしようと写真を撮ったりしていた。
「俺も経験あるよ。右利き用の楽器とか、大変だったもん。」
それからは俺も光も卒業し、それぞれが自分の学んだ分野を生かして職に就いた。
大学生の頃から一人暮らしだった俺はそのまま一人暮らしをしていた。
最低限の自炊はできる(光曰くギリギリのラインらしい)し、駅が近いなどのアクセスもよかったため不便なことはなかった。
両親が両親だからか、セキュリティは一層頑丈なところがいいなどの要望を満たすところは数も少なく、選ぶのには苦労しなかった。
作詞家としては出だしは順調だった。
今思えば、順調すぎて怖いくらいだった。
たくさんの人から褒め言葉を貰って、最初の半年間は順調だった。
けれど次第にペースが落ちて、遂には何も書けなくなってしまった。
どうしてか分からない。
だけど一向に筆が進まない。
どうやら、自分を見失ってしまったらしい。
ただ広いだけの部屋の中で一人でずっと考えた。
そんな中、俺が始めたのはブログだった。
『青空日和』
そう名付けたブログは確実に作詞家としての俺ではなく、素の自分である俺をさらけ出す良き場所だった。
昔から青空が好きで、気に入った空の写真を載せてみたり、出掛けた先の写真を載せてみたり。
もしかしたら『俺』という存在がちゃんとこの世界に存在しているということを誰かに知ってほしかったのかもしれない。
その管理人ネームは『fine』
これも音楽用語だ。
その時は名前なんて全く気にしていなかったし、何となく『フィーネ』という響きがいいと思っていただけだった。
けれどやっぱり、その背景には逃れられない現実が潜んでた。
結局両親にも、仕事は上手く行っていると心苦しい嘘をついている。
嘘を吐くたびに心が折れそうになってしまうが、それも一時的。
きっと時間が癒してくれるだろうと思っていた。
でもやっぱり現実は厳しい。
どれだけ夢や空想に浸ったって、すぐに現実を見ることになるのだから。
233人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天凪(プロフ) - サクラさん» このような形になってしまい、本当にすみません…!これからも頑張りますので応援よろしくお願いします! (2017年3月6日 8時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - そうだったんですねぇ、これからも頑張って下さい!! (2017年3月5日 19時) (レス) id: d7def24883 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 萌伽さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません!これからも頑張ります。温かい応援よろしくお願いします! (2017年3月5日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
萌伽(プロフ) - とても面白いです!! こんな文章かけていいなと思います、 これからも更新頑張ってください! (2016年10月3日 9時) (レス) id: 4cef1c3763 (このIDを非表示/違反報告)
乃海(プロフ) - Jokerさん» ありがとうございます!頑張ります〜!<(_ _)> (2016年4月3日 10時) (レス) id: 99f0b4f5e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ