vol.17 ページ17
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大ちゃんはまた、嵐みたいだった。
ドタバタ走ってきて、近況を大声で話して。
またプリンを買って来てくれて、そしてドタバタ帰って行く。
楽しくていいけれど、さすがにちょっと声が大きいよ。
楽しくて、思い出しただけで口角が上がってしまう。
……と同時に、たくさんの思い出が蘇る。
大ちゃんと過ごした高校生時代、そして、あの日の悪夢。
＊＊＊＊
あの日は綺麗に澄んだ青が頭の上に広がっていた。
あまり外に出ない俺には関係なかったけど、いつも教室の窓の中から空を見上げていた。
子供のころから体が弱くて、激しい運動は避けてきた。
それでも人付き合いは上手い方だったから、なんとかクラスで浮くことも無く過ごしてきた。
この日も俺は、音楽室に向かっていた。
外に出られない代わりに昔からピアノをやっていて、小さなコンクールで賞をもらったことも数回ある。それくらいピアノが好きだったし、俺に出来る事はそれぐらいしかなかった。
「伊野ちゃん！今日も音楽室行くの？」
「あ、大ちゃん。うん、もうすぐコンクールがあって……って言っても小さなやつだけどね。」
国の、とか世界の、とかそんな大層なものには出られないが、市の小さなコンクールに俺は小さなころから参加し続けていた。ピアノが好きだからというのが理由だけれど、俺からピアノを取ったら何も残らない気がして続けているというのもあった。
「俺も行っていい？伊野ちゃんのピアノ聞きたい！」
「ん、いいよ。そんな期待しないでね？」
大ちゃんは子供みたいに笑った。もっとも、この時の俺達はまだ子供だったのだけれど。
高校生になって、大人に近づいたというのに、大ちゃんの笑顔は小学生の無邪気なものに思える。
ひょこひょこ俺の後ろをついてくる大ちゃんが面白くてかわいくてくすくす笑っていたら、突然胸に違和感を抱いた。よく分からない感覚に陥り、混乱する。
もしかしてこんなところで、持病が悪化したのか？何も分からないまま、視界が歪み始める。
「伊野ちゃん？」
大ちゃんの素っ頓狂な声に何の反応もできない。
頭が真っ白になって、どうすればいいのか分からなくなって。
大ちゃんが大丈夫？と必死に話しかけてくれているのに、俺の口は震えるばかりで言葉を紡いでくれない。
頭が回らなくて、体も思うように動かない。
何も分からないまま、もう考える事すら面倒になって
重くなる体に任せて、そのまま意識を手放した。
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天凪(プロフ) - サクラさん» このような形になってしまい、本当にすみません…！これからも頑張りますので応援よろしくお願いします！ (2017年3月6日 8時) (
レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - そうだったんですねぇ、これからも頑張って下さい!! (2017年3月5日 19時) (レス) id: d7def24883 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 萌伽さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません！これからも頑張ります。温かい応援よろしくお願いします！ (2017年3月5日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
萌伽(プロフ) - とても面白いです！！ こんな文章かけていいなと思います、 これからも更新頑張ってください！ (2016年10月3日 9時) (レス) id: 4cef1c3763 (このIDを非表示/違反報告)
乃海(プロフ) - Jokerさん» ありがとうございます！頑張ります〜！<(_ _)> (2016年4月3日 10時) (レス) id: 99f0b4f5e8 (このIDを非表示/違反報告)
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