曖昧 me mind

vol.15 ページ15

最後に顔文字をつけているってことは、女性なんだろうか？
確かに絵文字をつける確率は男性よりも女性の方が多いのだろうけど…。


そもそもアオという名前も、両性ともあり得る。
花や風景は女性の方が好みそうだけど…。


「……分かんないな。」


一人暮らしをしている以上、どうしても独り言になってしまう。
元々一人っ子だし、そんなに一人が苦痛にはならないタイプだけど少し寂しい時もある。
光にはペットでも飼ったら？と言われた。


「ここ、ペット禁止なんだよな…。」


動物は嫌いじゃないけど、そんなに好きでもない。
何とも曖昧な答えだが、それはまるで俺の心の中と一緒。
いつもフワフワしていて曖昧で、答えなんて到底出せやしない。


「あ……。」


光のことを考えていると、以前彼がここに来たときに薄手のカーディガンを忘れたのを思い出した。
そのまま置いておくのも気が引けたからハンガーに吊るしていたものの、昨日持っていくのを忘れたな…。






『メッセージを入力してください。』

ディスプレイに現れた文字。
俺はそこに的確に文字を打ち込む。


『初めまして、fineです。コメントありがとうございます。元気をもらっているのはこちらの方です。アオさんもお体に気をつけてくださいね。』


打ち終えて読み返してみると、すごく淡白な文章だった。
ありきたりな言葉の羅列。
本当に作詞家なのかと疑いたくなるほどの文章力の無さ。


「…呆れるな…これ。」


結局変更する気にもなれず、そのまま投稿ボタンを押した。
またコメントしてくれればいいけれど…。


『コメントに返信しました。』


その通知を確かめてスマートフォンの画面を閉じる。
気付けば30分ほど経っていて、慌ててベッドから出る。


いつもなら寝室から出る時は憂鬱な気分になりがちだ。
けれど今日は清々しくて、一日を頑張ろうと思えた。



今日の天気も引き続き晴天。
そして今日の俺の心も珍しく晴天だった。

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