vol.13 ページ13
side:kei
目を開けると、いつも通りの白。
嫌でも目に入ってくる天井は、なんの特徴もない白だ。
「伊野尾くん、おはよう。……起きてるね?」
毎朝来る高木の挨拶ももう聞き飽きた。
あと何回高木のおはようを聞けば俺は退院できるだろう。
予定してるお花見はいつだろう。
早くしてくれなきゃ桜が散ってしまうよ。
急かしたって、きっと外出許可は早く出ない。
高木が悪いわけじゃないけど、高木に八つ当たりしてしまう。
早くこの、変わり映えしない日々を抜け出したかった。
「……起きてる?」
「起きてるよ。」
返事がなくて不安に思った高木が俺の顔を覗き込む。
そっか、と笑ってまた検温やらなんやら手際よくこなしていく高木。
「気分悪い?」
「別に。」
「……機嫌、悪い?」
「……。」
高木のそういうとこ、嫌いじゃない。
そんな変な顔してたかな、と自分の頬を触ってみるけど、そんなんじゃ当然自分の表情なんてわからない。
「今日は曇りだね。」
「……うん。」
「伊野尾くんも曇りだね。」
「……?」
首を傾げる俺を見て、ふふ、と笑う高木。
いつも通り「朝ごはんもうすぐだから」と言って病室を出た。
(ブログ……投稿されてるかな……)
スマホ依存症、とかじゃない。
けど、つい癖でスマホをいじってしまうのは、fineさんのブログを見るため。
(あ、投稿されてる!)
画面に表示される見慣れた文字。
『青空日和』って、とっても素敵だなぁ。
きっとfineさんは、穏やかで優しい人なんだろう。
「『僕の部屋から見える風景です。』……って、fineさんの家すごく高いところにあるんだ……!」
雲一つない綺麗な夜空に、まんまるのお月様がぽつんと切り取られたみたいに浮かんでいて。
たしかに綺麗だけど、なんだか寂しいような。
fineさんの文章も、なんだかいつもより元気がないような気がした。
「伊野尾くん、ご飯……って、またブログ見てるの?」
「うん……」
「……どうしたの?」
「……別に。」
朝ご飯を持ってきた高木が、苦笑い。
そんなにそのブログのファンなんだったら、コメントすれば?なんて笑いやがって、他人事なんだから。
コメントはしたいとは思っていたけどなかなか勇気が出なくて。
だけど、fineさん元気なさそうだし、勇気を出してみようかな。
『初めまして、アオと申します。fineさんのブログ、いつも楽しく読ませてもらってます。…………』
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天凪(プロフ) - サクラさん» このような形になってしまい、本当にすみません…!これからも頑張りますので応援よろしくお願いします! (2017年3月6日 8時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - そうだったんですねぇ、これからも頑張って下さい!! (2017年3月5日 19時) (レス) id: d7def24883 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 萌伽さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません!これからも頑張ります。温かい応援よろしくお願いします! (2017年3月5日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
萌伽(プロフ) - とても面白いです!! こんな文章かけていいなと思います、 これからも更新頑張ってください! (2016年10月3日 9時) (レス) id: 4cef1c3763 (このIDを非表示/違反報告)
乃海(プロフ) - Jokerさん» ありがとうございます!頑張ります〜!<(_ _)> (2016年4月3日 10時) (レス) id: 99f0b4f5e8 (このIDを非表示/違反報告)
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