vol.11 ページ11
『青空日和』
管理人:fine
こんばんは。
今日の夜空は綺麗ですね。
僕の部屋から見える風景です。
こんな素敵な夜には滅多に出会えそうにないですよね。
明日も晴れるといいなー。
それでは、おやすみなさい。
『記事を投稿しました。』
ディスプレイにはお馴染みの文字。
その文字を確認するとスマホを机の上に置いて、バルコニーに出た。
外は少しだけひんやりしていて、頭を冷やすには丁度いい気温だった。
『薮さんの歌詞って言葉のチョイスが素敵ですよね!』
『できれば専属になってもらいたいくらいです!次回も期待してますね。』
『観点が違うって言うんですかね?私だったらこんな言葉、思いつきもしませんでした!流石ですよね、尊敬します!』
……違う。
違うんだよ。
皆が見てるのは、儚い夢なんだよ。
本当の俺は、現実の俺はこっち。
皆が羨ましがるその言葉は、
皆が見ているその作詞家は、
皆が憧れているその人物は、
全部、夢なんだよ……!
「……もう、無理。」
一人になると、どうしても弱くなる。
じんわりと目元に感じる熱。
その涙をぐっと堪えた。
『流石ね、宏太。』
『宏太にはその才能があるんだから。』
『すごいじゃない!これで一躍有名人ね!』
『とてもいい詞だよ。父さんにも詞を作ってほしいくらいだ。』
……ごめん。
ごめんね、父さん、母さん。
俺、二人みたいにはなれないよ。
才能なんて幻だよ。
錯覚してるだけ。
俺には才能なんて無かったんだ。
今まで成功してきたのは運が良かったから。
それと、両親の影響かな?
結局俺がここまで来たのは全部まぐれ。
運が良かっただけ。
両親の名を武器にしていただけ。
その証拠に、自分自身を見れば何も残ってないんだから。
俺だけを見れば、よく分かる。
自分がどれだけ無個性で、どれだけ無価値な人間なのかを。
「……はぁ。」
また一つ、幸せが逃げて行った。
そのまま目を伏せるように、しばらく考え事をして再び部屋の中へと戻る。
そしてスマホを机の上から持ち上げ、一直線に寝室へと向かった。
ベッドに入ってテレビを点ければ深夜の歌番組。
人気アイドルグループの曲が始まろうとしていた。
もちろん俺の目が行くのは作詞家の欄。
けれどももちろん、俺の名前はなくて。
また一つ、幸せを逃がしてテレビを消す。
その勢いのまま眠りに就いた。
233人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天凪(プロフ) - サクラさん» このような形になってしまい、本当にすみません…!これからも頑張りますので応援よろしくお願いします! (2017年3月6日 8時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - そうだったんですねぇ、これからも頑張って下さい!! (2017年3月5日 19時) (レス) id: d7def24883 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 萌伽さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません!これからも頑張ります。温かい応援よろしくお願いします! (2017年3月5日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
萌伽(プロフ) - とても面白いです!! こんな文章かけていいなと思います、 これからも更新頑張ってください! (2016年10月3日 9時) (レス) id: 4cef1c3763 (このIDを非表示/違反報告)
乃海(プロフ) - Jokerさん» ありがとうございます!頑張ります〜!<(_ _)> (2016年4月3日 10時) (レス) id: 99f0b4f5e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ