vol.2 ページ2
side：薮
｢……。｣
一人暮らしにしては広いマンションの一室。
もうかれこれ1時間ほど進展がない。
目の前には白紙が1枚。
左手に握ったペンを机の上に置いた。
また今日も何も出来なかった。
また今日も俺は止まったままだった。
大学を卒業後、作詞家として活動し始めた。
最初は順調だった。
自分の表現したいことを書いていた。
｢……。｣
気分転換にと窓を開けると、暖かい春風がカーテンを揺らした。
季節は寒い冬を終え、暖かい春が訪れていた。
そんな中、巡る季節に置いてけぼり。
俺自身は冬を迎えても春を迎えることは出来なかった。
｢……。｣
あれこれ考えるのはもう、やめよう。
俺は窓を閉めて、スマホを片手に外に出た。
・
・
少し歩いたところに桜並木がある。
今は満開で、花見客も多い。
少し風が吹けば、桜吹雪となって空を舞う。
それを見ても、何の思いも沸き立たない。
綺麗なものを見ても、綺麗だと思うだけ。
それ以上の感情は起こらない。
一体自分はどうしてしまったのか。
少し前までは、こんな風ではなかった。
同じ物事でも人とは違う捉え方で、自分だけの言葉で表現できていたのに。
今となっては、自分らしい言葉で表現すること自体ができなくなってしまっている。
『薮さんの歌詞には様々な意味が込められていて素敵ですよね。』
かつて同業者にそう言われたことがある。
その時は純粋に嬉しかった。
だけど今、同じ言葉を掛けられればどうか。
嬉しいと感じる前に、卑下するのではないか。
｢……はぁ。｣
ため息をつく度に幸せが逃げるという。
実際にそうだとすれば、俺はどれだけの幸せを逃したのだろう。
遂には何かを考えることすら面倒になって、無心で歩き続けた。
背の高いビルが立ち並ぶ、息の詰まりそうなコンクリートジャングルから離れたところにある河川敷。
太陽の光を浴びてキラキラ輝く水面を見ては、またため息。
そして空を見上げると、
｢あ…。｣
雲ひとつない快晴だった。
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天凪(プロフ) - サクラさん» このような形になってしまい、本当にすみません…！これからも頑張りますので応援よろしくお願いします！ (2017年3月6日 8時) (
レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - そうだったんですねぇ、これからも頑張って下さい!! (2017年3月5日 19時) (レス) id: d7def24883 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 萌伽さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません！これからも頑張ります。温かい応援よろしくお願いします！ (2017年3月5日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
萌伽(プロフ) - とても面白いです！！ こんな文章かけていいなと思います、 これからも更新頑張ってください！ (2016年10月3日 9時) (レス) id: 4cef1c3763 (このIDを非表示/違反報告)
乃海(プロフ) - Jokerさん» ありがとうございます！頑張ります〜！<(_ _)> (2016年4月3日 10時) (レス) id: 99f0b4f5e8 (このIDを非表示/違反報告)
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