▼そういう事じゃない ページ9
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「そういえば桃原ってサッカー部のマネージャーだったんだね。今日玲王から知ったばかり」
『今更?…あ、でも話してなかったかも』
高校一年生になったばかりの頃。入学式を終えガラッと自分を取り巻く環境が変わり、私たちは部活に入るか入らないかを決める事を強いられた。
白宝高校は進学校なため、勉強に専念したい人のために入部は強制的ではない。が、私は別に勉強において上位を狙ってるわけでもなければ部活がしたいわけでもない。でも大学志願書に書けるような経歴は欲しいなーと悩んでいた時、私は藤原先輩と出逢った。
部活見学期間、部活を回って見ていた時、「マネージャーやらない?」と声を掛けてくれたのだ。さらに言えば当時三年にイケメンの先輩がいると噂があったので私は軽く了承した。我ながらチョロい。
しかし実際は先輩後輩という壁があり、これといって面識も持たない間に彼は引退したのだが。他の男子に興味がなかったわけではないが、マネージャーの想像以上の忙しさで恋愛なんてまともに出来なかった。
…しかし、今はどうだ。
今は好きな人がいるかつ玲王がその凪くんを引き連れてきてくれたおかげで十分にアタックする時間が増えた。このチャンスは無下にできない。
「…Aちゃん。意気込んでるところ悪いんだけど、部活中での凪くんへのアタックは程々にね。一年生にかっこいい背中見せるんでしょ?」
『うっ……………はい』
「でも私は応援してるからね」
ファイト、とガッツポーズをする藤原先輩。その優しさにじーん…としていると、背後から桃原ー!と私の名前を呼ぶ声が聞こえた。どうやら他の部員が私に用があるようだ。「はーい!」と大事で返事してそちらへ向かう。
▽
「どう?うちの後輩、可愛いでしょ」
「…そうですね」
「他に好きな人がいるわけでもなさそうだし靡かないのが不思議だわ。あんなに一途に好意を大っぴらにする子ってなかなかいないわよ。…そんなにAちゃんがタイプじゃない?」
「そういう事じゃない」
じゃあなんなの、と藤原先輩は首を傾げる。
「先輩もアイツ自身もわかってないよ。アイツが俺に対して抱いてるのは付き合ってどうこうしたいとかいう “好き” じゃない」
「…何それ、どういう事」
凪と藤原に沈黙が流れる中、少し離れたところにいた玲王が怪訝な顔をしてそんな2人を見つめていた。
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雪菜(プロフ) - Kyoro丸。さん» !!!!めちゃくちゃ嬉しいです〜!!続編行きそうなのでこれからも頑張ります!!ありがとうございます☺︎☺︎☺︎ (2023年4月7日 16時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
Kyoro丸。(プロフ) - いや、これは殿堂入りしなければならない作品でしょ!めっちゃタイプです!これからも頑張ってください〜! (2023年4月7日 14時) (レス) @page10 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - みっちゃんさん» うわあああ嬉しいです!!春休みなのでちょくちょく更新していきます!ありがとうございます〜〜〜!!! (2023年4月7日 12時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - もうどタイプすぎて時間を忘れて一気見してましたwww. 新しい更新まってまーーーす!!!!!!! (2023年4月7日 12時) (レス) @page33 id: 49aaf38551 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - さえさん» 本当ですか…!!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!!動悸がすごいです!!ありがとうございます〜!!!☺︎☺︎☺︎ (2023年4月3日 0時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪菜 | 作成日時:2023年3月7日 21時