▼宝物を手にした少年 ページ7
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凪くんは非常に多才だ。生まれつきの高身長、(私好みの)顔に加えて、勉強、運動などどれにおいても決して進学校であるこの学校の同級生と引けを取らない。
それは彼の努力というよりかは天賦の才能だった。小テストの前なんてほとんどゲームをしているか寝ているかなのに、毎回満点に近い点数を取る。
そんな彼の天才っぷりに嫉妬し、不満を口にする人はたまに見かけた事がある。ああいう天才面がムカつく、無気力でスカしてる感じがウザい。そんな意見に1ミクロンくらいは同調した。努力しなくても何でも出来るなんて、努力している人からしたら納得できないだろう。
だから意外だった。
『…え、凪くんがサッカー部に?』
「そ。一、二週間前に階段で偶然会ってさ、俺がぶつかって凪のスマホ落としちまった時…アイツ、階段の上から下に躊躇なく飛び降りて足の先でキャッチしたんだよ。あれから俺は確信したんだ!凪は本物の天才だって!」
『…玲王って凪くんみたいなタイプ苦手だと思ってた。ああいういつも無気力で天才肌って感じの人』
「まあな。俺は才能っつーより努力派だから勉強とかに関しては悔しいって思わないわけじゃないけど。…でもああいうヤツってなかなかいないと思う。俺は決めたんだ、凪とサッカーするって」
『ふーん…』
凪くんの良さに私以外が気づくという想定外の事態に正直複雑な気持ちだが…それよりも驚いたのが、玲王のこの興奮具合だ。
コイツも大概多才でいつも人に囲まれていたけど──でも、こんな風に人に執着するのは初めて見た。特別親しいとも言えないからそんな事は決して本人には言えないけど、でも、まるで初めて宝物を手にした少年のような玲王を見て困惑している自分がいる。
凪くんの存在が、玲王をここまで変えた。凪くんがすごいからこそ玲王が人間らしい部分を見せた。本来なら祝うべきなのに…何でなんだろ。どこかモヤモヤするような…?
「…何だよ」
『…あ、いやよく凪くんがそれ了承したね。面倒くさがって意地でも入らなそうなのに』
「押しに押しまくったらいけたぞ」
『…え、じゃあ私のアピールはなんで通じないの?』
「あれは論外だろ」
『辛辣!』
どう考えてもおかしい!!何で玲王に凪くんが靡くんだよ!!…とギャーギャーと揉めていると、歩きスマホをしながらこちらに向かってくる人影が一つ。
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雪菜(プロフ) - Kyoro丸。さん» !!!!めちゃくちゃ嬉しいです〜!!続編行きそうなのでこれからも頑張ります!!ありがとうございます☺︎☺︎☺︎ (2023年4月7日 16時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
Kyoro丸。(プロフ) - いや、これは殿堂入りしなければならない作品でしょ!めっちゃタイプです!これからも頑張ってください〜! (2023年4月7日 14時) (レス) @page10 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - みっちゃんさん» うわあああ嬉しいです!!春休みなのでちょくちょく更新していきます!ありがとうございます〜〜〜!!! (2023年4月7日 12時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - もうどタイプすぎて時間を忘れて一気見してましたwww. 新しい更新まってまーーーす!!!!!!! (2023年4月7日 12時) (レス) @page33 id: 49aaf38551 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - さえさん» 本当ですか…!!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!!動悸がすごいです!!ありがとうございます〜!!!☺︎☺︎☺︎ (2023年4月3日 0時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪菜 | 作成日時:2023年3月7日 21時