▼世界滅亡級に可愛い ページ39
-
「あんな事言ったのに何で好きって堂々と言えるの」
『…傷つけた自覚はあるんだ？』
「人をなんだと思って」
何で、と問いかける割にしゃがみ込んでいる凪くんはどこか安心したような穏やかな顔だった。彼にも思うところはあったのだろう。それだけで十分だった。
「でも今も好きなんだもん、仕方ないでしょ？」と試しにあざとく言ってみるがどうやら空回りしたようで、怪訝な顔をした凪くんに一蹴される。
「嘘つき」
『え、嘘じゃないよ』
「…断られる度、安心してたくせに」
“凪さ、言ってたんだよ。桃原の好きは付き合ってどうこうしたいとかいう好きじゃないって___...。”
玲王が車の中で言っていた言葉が腑に落ちる。
…そうか凪くんは気づいてたんだ。とっくの昔に。
『…それは本当だよ。
実はさ私、中学の頃、軽いストーカーに遭った事があるんだ。その犯人は同級生の男子だし直接何かされたわけじゃないけど…帰り道後ろをついて来たり、家の前で待ち伏せされたり。
それ以降、誰かに好かれる事に抵抗があったの。だから色々な事に無頓着な凪くんなら私の事好きにならないだろうし、ストーカーになったりしないだろうなって
…フラれる度どこか安心してた』
あの頃、友達にも相談したけど何の解決にはならなくて。ある日突然我慢できなくなって泣いて家族にぶちまけたもんだから、かなり心配されたものだ。
その後家の前にいた男子を家族みんなで追い払ってくれた事で、ストーカーはその日からぱったりとなくなったのだが。あれから何年も経っているのに、意外とトラウマになってしまっていたようだ。
…でももう、立ち直らなきゃ。
『でもね、凪くんに片想いし続けたいつもりじゃないよ。願わくば凪くんの隣で彼女として歩きたい…紛れもなく私の本心』
想いを伝えるためにまっすぐと目を見てそう言ったが、彼はすぐに目を逸らして「…そ」と顔を膝の上に埋めてしまった。うーん、やっぱりそっけな…
…
なんか耳、赤い？
『もしかして凪くん…照れてる？』
「…は、意味わかんない」
『え、だって耳赤…ちょ、凪くん？！』
「幻覚でも見てんじゃないの」
赤くなった耳を指差そうとするとその手を軽く振り払って、彼は誤魔化すように立ち上がった。顔を隠してはいるけど頬はほんのり赤く熟れていた。
…は、地球滅亡級に可愛いんだけど。
-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪菜(プロフ) - Kyoro丸。さん» ！！！！めちゃくちゃ嬉しいです〜！！続編行きそうなのでこれからも頑張ります！！ありがとうございます☺︎☺︎☺︎ (2023年4月7日 16時) (
レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
Kyoro丸。(プロフ) - いや、これは殿堂入りしなければならない作品でしょ！めっちゃタイプです！これからも頑張ってください〜！ (2023年4月7日 14時) (レス) @page10 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - みっちゃんさん» うわあああ嬉しいです！！春休みなのでちょくちょく更新していきます！ありがとうございます〜〜〜！！！ (2023年4月7日 12時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - もうどタイプすぎて時間を忘れて一気見してましたwww. 新しい更新まってまーーーす！！！！！！！ (2023年4月7日 12時) (レス) @page33 id: 49aaf38551 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - さえさん» 本当ですか…！！！！めちゃくちゃ嬉しいです！！！動悸がすごいです！！ありがとうございます〜！！！☺︎☺︎☺︎ (2023年4月3日 0時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪菜 | 作成日時：2023年3月7日 21時
