▼例えるならとんかつソース ページ30
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桃原が意図的に俺との会話を避けてるなーと思い始めたのは、先月くらいからだった。
体育祭があった頃は何もなかったと思うがその後くらいから俺に付き纏う時間ががくんと減った。それは割と大きな変化で、「人に興味ないだろお前」と玲王から定評がつくほど視界が狭い俺でも気づいた。さすがに。
何か変な事でも言ったか、と思い返しても何も浮かばず。最初は静かでいいかも〜と思っていたので本人に聞く事もしなかったのだが。
「先輩、A先輩の事気にしてるんですか?」
「…そんなつもりはないけど」
「え〜…だってずっと見てましたよ」
「見てないってば」
「そーですか」
いつからか部活でスポドリやタオルを持ってくるのは桃原ではなくなんとかっていう後輩のマネージャーに代わった。前までは引っ込み思案だと思っていたのに、今ではそんな事もない。桃原に感化されてメンタル強化でもされたのだろうか。
…あ、また無意識にアイツを見てる。
「まあ仕方ないですよ。今までA先輩、凪先輩にベッタリでしたもん。隣にいるのが当たり前だったから寂しくなるのも無理ないですよ」
「…そういうもん?」
「そうですよ。でもすぐ慣れると思います。A先輩がアタックし始めてから二ヶ月かそこらでしょう?」
そういえばそうだ。基本的にゲームするか寝るか、たまにチョキと話すくらいしかしてなかった俺の生活に桃原Aという存在はあまりに濃すぎた。
濃い生活をしていて忘れていたが、二年になってからまだ二ヶ月くらいしか経っていない。それまでの記憶にはいつも桃原がいた気がする。
…そっか、俺寂しがってたのか。
「…ねえ凪先輩。よかったら今度の日曜日──」
「なーぎ。そろそろ練習再開すっぞ」
「えー…あともう少しだけ」
「ダメ。ほら早く立てって」
「うぇー…」
後輩が何を言いかけたのかわからなかったが、玲王に呼ばれて練習に駆り出される。だるくて立ち上がる気力もない俺を見越してか、玲王は俺の腕を思いっきり引っ張り上げた。…力強、ゴリラみたい。
「…あーあ、私見事に脈ナシじゃん」
一方、取り残された女は静かに自嘲気味に笑った。
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雪菜(プロフ) - Kyoro丸。さん» !!!!めちゃくちゃ嬉しいです〜!!続編行きそうなのでこれからも頑張ります!!ありがとうございます☺︎☺︎☺︎ (2023年4月7日 16時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
Kyoro丸。(プロフ) - いや、これは殿堂入りしなければならない作品でしょ!めっちゃタイプです!これからも頑張ってください〜! (2023年4月7日 14時) (レス) @page10 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - みっちゃんさん» うわあああ嬉しいです!!春休みなのでちょくちょく更新していきます!ありがとうございます〜〜〜!!! (2023年4月7日 12時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - もうどタイプすぎて時間を忘れて一気見してましたwww. 新しい更新まってまーーーす!!!!!!! (2023年4月7日 12時) (レス) @page33 id: 49aaf38551 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - さえさん» 本当ですか…!!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!!動悸がすごいです!!ありがとうございます〜!!!☺︎☺︎☺︎ (2023年4月3日 0時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪菜 | 作成日時:2023年3月7日 21時