私に興味がない凪くん。【凪誠士郎】

▼選ばれたかったの？凪くん ページ23

-






あの後は色々と大変だった。




薫と優愛、それ以外のクラスメイトからも何で借り物競走で凪くんを選ばなかったのかと迫られそれを躱すのに必死だった。でもさっき玲王が言っていた事をそのまま話すわけにもいかず、とりあえずその場では「凪くんがゲームしてるのを邪魔したくなかったから」という理由で押し通した。


納得していなかった二人に “幸せ恐怖症” の可能性を交えて本当の理由を話したが、「何それもったいな」と吐き捨てられた。マジで遠慮ない。






▼






その後も競技は続き、声を張り上げて応援していたら時間も刻々と進み。あっという間に閉会式を終え、体育祭はこれにて閉幕となった。




…が、運動部は掃除しろとの事で、サッカー部のマネージャーである私も掃除に駆り出された。マネージャーは運動部のくくりでなくてもよくないかとデモを起こしたくなったが凪くんと掃除が一緒なのでヨシとする。





『いやー、一日あっという間だったね凪くん！』


「うん。ほとんどゲームしてたから」


『体育祭でもゲームしてんのさすがだよね』





本人が言う通り、凪くんは自分の出番以外はずっとゲームをしていた。他の人がクラスメイトを応援する中しゃがんでスマホを握る姿はとても褒められたものではないが、みんな凪くんはそういうヤツだと認識しているので特に何も言われていなかった。うちの学校はそういうのには寛容なのである。





『でも凪くんが障害物リレーでちゃんと走ってるところバッチリ撮ったから！一生の宝物にする』


「宝物にするもの間違ってるよ。…桃原は」


『借り物競走だね』


「うんそれ。なんで俺じゃなくてアイツ選んだの？」


『…えっ』





まさか本人にも聞かれるとは思わなくてたじろぐ。

けどまあ、普段付き纏ってくる女がああいう時に限って何もしてこなかったら不自然に思っても不思議じゃないだろう。





『ほら、あの時凪くんゲームしてたし。邪魔されたくないでしょ？』


「別にあんなクソゲーすぐやめれたし」


『え…？うーんとつまり…




凪くんは私に選ばれたかったの？』


「違うけど」


『即答かよ』





じゃあなんなの、と聞くが「教えなーい」とそっぽを向かれてしまった。可愛すぎてそれどころじゃなくなった。







-

▼ついに恋敵が現れた！？→←▼幸せ恐怖症ってヤツ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す