▼幸せ恐怖症ってヤツ ページ22
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「借り物競走お疲れ」
『おつ〜…お、気が利くじゃん』
「まあ御影玲王様だからな」
『はいはいサンキュ御曹司サマ』
出番が終わり人気のない日陰に向かうと、そこに立っていたのは玲王だった。受け取った缶ジュースをありがたくプシュッと開ける。さっきまで競技に出ていたからそこそこ喉が渇いていたのでありがたい。若干火照った体にジュースがひんやり染み渡る。
その余韻に浸ってまもなく、玲王は「それよりさ」と話題を転換した。…あ、聞かれるなこれは。
「さっき…何でお前、凪を選ばなかったんだよ」
『聞かれると思った〜…』
「お題が高身長ならわざわざアイツ選ばなくてもよかっただろ。まさかお前今更照れたとか」
『…チキった』
「は、お前が?」
鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をする玲王を見て、少しおかしくなって笑う。あまりに信じられない!という顔をするんだもん、面白すぎる。
『ふ…うん、そう』
「いいから笑ってないで答えろって」
『いやさー…今日はすごく幸せなんだよ?凪くんとツーショット撮れてさっきだってあのまま凪くんを選べば手を繋ぐ理由づけにはなっただろうし…でもなぜか不安になっちゃって』
「んだそれ」
『わかんない。らしくないよね』
はあ、と手すりに腕が乗っかるようにして顔を突っ伏す。
あのまま迷わずに凪くんを選んでいたのなら手は繋げたし一位にもなれたかもしれないのに。あの時お題を見て真っ先にそう出来なかったのは不安だったからだ。でも何がそうさせたのかはわからない。…何で何だろ、ホントに。
「それって幸せ恐怖症ってヤツなんじゃねーの」
『…何それ?』
「楽しい時、悪い事が起こるんじゃないかって不安になったり居心地悪く感じるらしい。それが恋愛面だけに現れるんだったら、過去の恋愛に関係してるのかも」
『…』
「どうやら思い当たる事ありそうだな」
『…
えへ』
「ま、解決できそうならいーけど」
俺そろそろ行くわ。玲王はこちらに背を向けて「じゃあな」と言い放った。階段を上っていく彼をぼーっと見つめていたら、いつもの取り巻きの女の子が「あ!ずっとどこにいたの〜?」と駆け寄っていく。玲王はいつもの王子スマイルでそれに対応し始めた。
…アイツ、私にジュースを渡すがためだけに待っててくれたのか。優しいな。私は空になった缶ジュースを捨て、観客席の方に向かった。
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雪菜(プロフ) - Kyoro丸。さん» !!!!めちゃくちゃ嬉しいです〜!!続編行きそうなのでこれからも頑張ります!!ありがとうございます☺︎☺︎☺︎ (2023年4月7日 16時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
Kyoro丸。(プロフ) - いや、これは殿堂入りしなければならない作品でしょ!めっちゃタイプです!これからも頑張ってください〜! (2023年4月7日 14時) (レス) @page10 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - みっちゃんさん» うわあああ嬉しいです!!春休みなのでちょくちょく更新していきます!ありがとうございます〜〜〜!!! (2023年4月7日 12時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - もうどタイプすぎて時間を忘れて一気見してましたwww. 新しい更新まってまーーーす!!!!!!! (2023年4月7日 12時) (レス) @page33 id: 49aaf38551 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - さえさん» 本当ですか…!!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!!動悸がすごいです!!ありがとうございます〜!!!☺︎☺︎☺︎ (2023年4月3日 0時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪菜 | 作成日時:2023年3月7日 21時