▼拍子抜けな借り物競走 ページ21
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クラスメイトを全力で応援したり、友達と写真を撮ったりしているうちに私の出番である借り物競走が近づいてきた。いくら練習する方法がなかったとはいえども、多少は緊張する。何せ優勝クラスには豪華景品が出るからだ。負けてられない…!
前の種目が終わりそばで待機していると、友達がこちらに「A〜!」と手を振ってくれる。それに振り返すと悪ノリしてキャーッと黄色い声援が上がる。やめろ恥ずかしい。
…あ、凪くん。
彼の長身は体育座りしていてもよく目立つ。顔を伏せていて何をしているのかわからないけど、まあ多分スマホゲームでもやっているのだろう。相変わらずだ。
「借り物競走のお題なんだろ〜!好きな人とかだったらどうするよ?」
『まあ出てもいないで通すよね、みんな』
「まあAならそん時でも大丈夫か!周りの目線気にせずに凪連れて行きそうだし」
『…いや、私は…』
答えようとした時、「続いて借り物競走です!一列目の人達、前に出てください」とアナウンスの指示が入る。ついに競技が始まってしまったと、ドッドッと拍動する心臓を落ち着かせた。
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「始まったね、借り物競走」
「んだね。…A、足固まってんな」
「…あ、こっち来た」
借り物競走が始まったきり足を止めていたAが地べたに座っているクラスメイトの隙間を覚束なく歩いてくる。何も言わないものだから緊張感が走る。
…まさか本当にお題が好きな人だったりして。
『山下!こっち来て』
「…え、俺?」
クラスメイトが自然と凪の方へ目線を向ける中、予想外にもAが指名したのは山下という男子だった。凪を指名するかと思っていた私達は完全に拍子抜けだ。
呼ばれた山下自身も終始何で俺?という顔をしつつも、走るのに必死なAと不本意にも手を繋げてわかりやすく嬉しそうだ。アイツと仲良いヤツらは「デレデレすんなー!」と野次を飛ばしている。
今更だが山下は密かにAに好意を寄せている男子だ。まあ正直クラスのみんなわかってるんだけど。A自身がそれに気づいているかはわからないが、この場面であえて山下を選んだ理由が謎だ。
「ニ位桃原さん!お題は── “高身長” でした!」
お題が “高身長” なら尚更。
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山下は6話「▼揺らがない決意」にて登場してます!
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雪菜(プロフ) - Kyoro丸。さん» !!!!めちゃくちゃ嬉しいです〜!!続編行きそうなのでこれからも頑張ります!!ありがとうございます☺︎☺︎☺︎ (2023年4月7日 16時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
Kyoro丸。(プロフ) - いや、これは殿堂入りしなければならない作品でしょ!めっちゃタイプです!これからも頑張ってください〜! (2023年4月7日 14時) (レス) @page10 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - みっちゃんさん» うわあああ嬉しいです!!春休みなのでちょくちょく更新していきます!ありがとうございます〜〜〜!!! (2023年4月7日 12時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - もうどタイプすぎて時間を忘れて一気見してましたwww. 新しい更新まってまーーーす!!!!!!! (2023年4月7日 12時) (レス) @page33 id: 49aaf38551 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - さえさん» 本当ですか…!!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!!動悸がすごいです!!ありがとうございます〜!!!☺︎☺︎☺︎ (2023年4月3日 0時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪菜 | 作成日時:2023年3月7日 21時