▼気づいてないフリ ページ20
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「待ってそのヘアアレンジ可愛い〜!」
「今日だけ髪染めてみたわ」
「何その背ネームおもろ」
「これで可愛い子声かけてくれねえかな」
「お前は無理だろ」
体育祭当日というわけで、周りが普段よりもザワザワと騒がしい。女子はヘアアレンジやら、うちわやメガホンを作ってきたり、男子は髪を染めたりして大分張り切っているようだ。
俺はというと、ひたすらに面倒くさい。
行事ごときに全力を使いたくないし、そもそも行事が楽しいと思った事はない。あんな学校側が勝手に用意して面倒事を増やす行事になんでみんなが魅力を感じるのか、未だにわからないでいる。
『凪くん凪くん!』
いつものようにアイツが俺に駆け寄ってくる。桃原も大概行事に一喜一憂するタイプの人間で、友達とワイワイ髪をいじったり写真を撮ったりして楽しんでいるようだ。
多分それが普通なのだ。俺がみんなみたいに楽しめないだけで。だからといってやはり行事に全力を出したくないのは変わらないけど。
「…なーに」
『ヘアアレンジしてもらったの!どう?』
「…何が違うの?」
『嘘だろおい』
嘘だ。さすがに周りを見ていない俺でも、毎日顔を合わせている人間の変化には気づく。…というより強制的に顔を合わせられているんだけど。
いつも下ろしている長い髪が編み込まれ、それを一つにまとめている。高い位置でまとめている髪は動くたびにゆらゆら揺れて、ポニーテールの由来ってここからなんだなあと思った。
ただ、俺は気づいてないフリをする。
彼女に変な期待を持たせなくないのであくまで無関心なのだと態度を一貫する。どうせコイツの俺に向ける想いなんてただの一時的な気の迷いなのだから、さっさと諦めてもらうに越した事はない。
…のに。
『凪くんってばホント節穴〜』
「…どさくさに紛れて今写真撮った?」
『へへ、バレた?』
「(…
眩しい)」
ありがとう、と言い残して、写真を撮ろうと誘ってきた友達のほうに戻っていく。その姿は普段よりも一段とキラキラして見えて、やはり俺と桃原の間には大きな溝があるような気がした。
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雪菜(プロフ) - Kyoro丸。さん» !!!!めちゃくちゃ嬉しいです〜!!続編行きそうなのでこれからも頑張ります!!ありがとうございます☺︎☺︎☺︎ (2023年4月7日 16時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
Kyoro丸。(プロフ) - いや、これは殿堂入りしなければならない作品でしょ!めっちゃタイプです!これからも頑張ってください〜! (2023年4月7日 14時) (レス) @page10 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - みっちゃんさん» うわあああ嬉しいです!!春休みなのでちょくちょく更新していきます!ありがとうございます〜〜〜!!! (2023年4月7日 12時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - もうどタイプすぎて時間を忘れて一気見してましたwww. 新しい更新まってまーーーす!!!!!!! (2023年4月7日 12時) (レス) @page33 id: 49aaf38551 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - さえさん» 本当ですか…!!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!!動悸がすごいです!!ありがとうございます〜!!!☺︎☺︎☺︎ (2023年4月3日 0時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪菜 | 作成日時:2023年3月7日 21時