私に興味がない凪くん。【凪誠士郎】

▼押すが引けない絶対に ページ16

-






『薫(かおる)は体育祭の種目何よ？』


「私は障害物リレー。凪と一緒でごめんね」


『違う種目だからこそ凪くんが走ってるところバッチリ撮影できるし別に羨ましいとか思ってないし』


「羨ましいんだな…」





同じ種目という事はワンチャン走順が前後になってバトンの受け渡しが出来る。体育の時間では体育祭に向けた練習時間が設けられるので、その中で一緒に練習できる薫の事が羨ましくないわけがない。


ただ素直に頷くのはなんだか癪だったので「別！！に！！」とあくまで否定をすると、優愛は「なんでアンタは凪以外には素直じゃないの」と呆れられた。余計なお世話！





「…アンタは凪の周りに嫉妬する事あんの？」


『んー、あんまりないかも。凪くんに異性の友達はいないし今のところ恋敵もいなそうだから』





好きな人に異性の友達がいないのは恋愛してる中でかなり有利な条件ではあると思う。これまでの恋愛では、好きな人に近づく女がいて、それが好意を抱いているにしろそうでないにしろ、少なからず嫉妬してしまっていた。


あの子も○○が好きだったらどうしよう。恋敵になったらどうしよう。○○が取られちゃったらどうしよう…。


そう考えたら不安になっていくし、でも話せたら嬉しい。恋愛していたら多少は情緒不安定になるはずが、凪くんの場合それがないので情緒は至って安定していた。そのおかげで高校入ってから感情の浮き沈みは小さい。





「よくわかってんね。…じゃあたまには引いてみたら？」


『…引く？』


「恋愛で押して引くってあるでしょ。アンタの場合常に押してる状態だからたまには引いてみたらってこと」


「お、いいねそれ。鉄板だけど効果ありそう」


『…どう引けばいいの？』


「そりゃ話しかける回数を減らすだとか、わざと凪の前で違う異性と話すだとか…」


『…


無理…凪くんと話す回数減らすとか病む…』


「ダメだこりゃ」


「アンタ今までどうやって恋愛してきたの？」





凪くんとの会話は私が毎日を生きていく上の数少ない癒しなのだ、それを減らすだなんてとんでもない。こうして薫発案の【押して引く作戦】は瞬く間にお蔵入りになった。






-

▼キラキラな青春→←▼迫り来る体育祭

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す