7 ページ7
「で？何か言うことは？」
レイを目の前にして、何も言えなくなる。
言い訳も思い付かない。
ただ黙っている。
だらだらと冷や汗が流れるばかりだ。
「…………はぁ、お前な。もう少し俺を信用しろ。何年一緒にいると思ってるんだ」
『………ごめん』
「謝ってほしくない」
レイのことは信頼している。
もちろんエマもノーマンも。
けどこの事実を話してしまってもいいのか？
何も知らなければ、幸せのままでいられる。
「A」
びくっと体が震えた。
レイの声が厳しい。
こんなにも怖いレイは初めてだ。
「………一人で背負い込むな」
『…………』
「怒ってるんじゃない。心配してるんだ。最近ろくに食べてないし、顔色も悪いし、隈もできてるし」
『…………』
「なんかあるなら、話せよ。相談くらい乗るって」
『…………うん』
レイを巻き込んでしまってもいいの？
結局はママに狩られてしまうのに。
でもレイなら…………。
『あのね、実は…………』
「どうしよう！森でナイラとはぐれちゃった！！いっぱい探したけど見つからないんだ！」
私の声はその叫びによって遮られる。
見ればマルクが泣きじゃくっていた。
もうすぐ日が暮れる。
ナイラを見つけないと。
ママは一人で森に入っていった。
いつも持っている時計を確認してから。
数分で、眠るナイラを抱えて戻ってくる。
「ナイラー！」
子供たちはママとナイラの元に駆け寄った。
その光景を見て膝が震える。
速すぎる。
ナイラがどこにいるのかわかってたみたいだ。
時計を確認した…………。
発信器？
もし私達の体に発信器が埋め込まれていたら。
それを時計で確認することができたら。
昨日、書斎を調べていたことがバレてたら。
「…………A？」
ヤバイ、狩られる。
次に狩られるのは私だ。
「Aっ！！」
ぐらっと視界が反転する。
レイに受けとめられたのがわかった。
力が入らない。
気持ち悪い。
「A、しっかりしろ！」
『…………レイ』
「なんだ」
『………………にげ、て』
その言葉を最後に気を失った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 538人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レンスイ(プロフ) - 随分前に感想依頼頂いた者です！ とても面白い作品が拝見でき嬉しかったです！ 感想は私の作品で書いてあるので、目を通していただけたら嬉しいです。ありがとうございました！ (2019年5月25日 17時) (
レス) id: 85db579f44 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 33話の『エマはニッコリした』を『エマは怪しい笑みを浮かべた』にしたらどうでしょうか？ (2019年3月30日 17時) (レス) id: 297e0956e6 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 主人公と誕生日被ってました！この小説ミスが無いし文は読みやすいしで最高ですね！ (2019年3月21日 1時) (レス) id: 1a221874dd (このIDを非表示/違反報告)
まこと - コニーが出荷される日に初めてカロが眠れなかったり、出荷された翌日に食欲がないのと3日も寝込むのはママ視点からしたら怪しすぎる (2019年3月13日 19時) (レス) id: f89bfe1a17 (このIDを非表示/違反報告)
?aksn?(プロフ) - 夢主の誕生日と私の誕生日が一緒で驚きました笑これからも頑張ってください！ (2019年3月10日 13時) (レス) id: e6b7d8f455 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翡翠 x他1人 | 作成日時：2019年1月4日 18時
