番外編�� ページ42
レイside
まだ七歳の頃だ。
もうすぐ10歳になる子に"里親"が見つかった。
つまり、"出荷"されることになったのだ。
『レイ、お別れの挨拶しないの？』
「…………する、けど」
この時が一番嫌いだ。
俺は知ってるから。
"食べられる"って知ってるから。
だから笑顔では見送れない。
部屋の奥で踞る俺を見て、困った顔をするA。
『んー、お別れが嫌なの？』
「…………」
『悲しいのが嫌なの？』
「…………」
『それとも、"里親"が見つかったのが嫌なの？』
ビクッと体が反応する。
Aは知っているの？
それとも勘なのか。
でもAは優しい顔になった。
そして、俺に近づく。
チュッ。
軽いリップ音が響いた。
柔らかい唇が額に触れる。
「なっ……………」
『大丈夫、大丈夫。本当は痛い思いをした子にキスをするんだって。でも同じだよね。
レイ、大丈夫だよ。側にいるから』
そっと抱き締められて、背中をさすられる。
自分が落ち着いていくのがわかった。
どのくらいそうしていただろう。
ずっとこのままでいたかった。
『………お別れ出来そう？』
「…………うん」
Aは俺を立たせると、ぎゅっと手を握ってくれた。
しっかりと握り返す。
玄関にはママと出荷される子がいた。
その子を見たとたん、視界がにじむ。
鋭い視線を感じる。
ママが監視している。
『ほら、レイ。お別れしよう』
「………元気でね」
そうやっとの思いで呟いた。
本当は叫んでしまいたかった。
逃げろって、頼むから生きてくれって。
けど、ママは鬼の元へ連れていってしまう。
「…………っ」
泣かないようにするのに必勝だった。
握るAの手に力が入る。
『………頑張ったね』
Aは笑顔でそういった。
その言葉は何に向けた言葉なのか。
けど、その笑顔があまりにも美しくて。
涙も、呼吸することも忘れた。
そのとき恋に落ちたのは、誰にも言えない秘密。
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レンスイ(プロフ) - 随分前に感想依頼頂いた者です！ とても面白い作品が拝見でき嬉しかったです！ 感想は私の作品で書いてあるので、目を通していただけたら嬉しいです。ありがとうございました！ (2019年5月25日 17時) (
レス) id: 85db579f44 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 33話の『エマはニッコリした』を『エマは怪しい笑みを浮かべた』にしたらどうでしょうか？ (2019年3月30日 17時) (レス) id: 297e0956e6 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 主人公と誕生日被ってました！この小説ミスが無いし文は読みやすいしで最高ですね！ (2019年3月21日 1時) (レス) id: 1a221874dd (このIDを非表示/違反報告)
まこと - コニーが出荷される日に初めてカロが眠れなかったり、出荷された翌日に食欲がないのと3日も寝込むのはママ視点からしたら怪しすぎる (2019年3月13日 19時) (レス) id: f89bfe1a17 (このIDを非表示/違反報告)
?aksn?(プロフ) - 夢主の誕生日と私の誕生日が一緒で驚きました笑これからも頑張ってください！ (2019年3月10日 13時) (レス) id: e6b7d8f455 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 x他1人 | 作成日時：2019年1月4日 18時
