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レイside
時はずくに過ぎていった。
脱獄も計画も生きることも。
何もかも諦めた俺は、図書館でただ本を読み漁る。
ずっとAが隣にいてくれた。
隣にいて、寄り添ってくれて、弱っていった。
「…………また痩せたか？」
『かもね』
Aは食べれなくなった。
食べては吐いて、それの繰り返し。
俺の隣でいつも寝ている。
動けないのか、動かないのか。
「………………A」
『何？』
こいつには全部お見通しなのかもしれない。
俺がしようとしてることも、俺の気持ちも。
黙ってAの細い体を抱き寄せた。
『レイ、またママが来るかもよ』
そう、ママはよくAの様子を見に来る。
脱力して、絶望して、苦しむ俺たちを見に来る。
最上級のフルスコアだから。
段々と弱っていくAを見てきっと焦っているのだろう。
『レイ、くすぐったいよ』
後ろからAの肩に顔を埋めた。
力いっぱい抱き締める。
…………本当に細い体。
『どうしたの』
「…………明日は俺の誕生日だから」
『…………もう明日、か』
Aはぼんやりと呟いた。
その表情は見えない。
見えないけどAが震えているのはわかる。
俺はそのままAを抱き上げ、食堂に移動した。
「…………お前って本当に軽いな」
『何を今さら』
こんなに細くて軽いくせに、チビのくせに。
あの推理力はどこにあるのだろう。
全部、美味しい脳みそに詰まっているのか。
「A、レイ。こんな時間に何してるの？」
エマが松葉づえをついてやって来た。
それを見てAは俯いた。
『………明日はレイの誕生日だから』
2046年、1月14日、23:38。
もうすぐ今日が終わる。
今日が終われば俺は…………。
「なあ、エマ。A。本当は諦めてないんだろ？」
Aの細い体にほどよくついた筋肉。
体重は減っても、筋肉は落ちてない。
エマはにっこりと笑った。
Aは俯いててよくわからない。
俺たちのすることは"何もしない"こと。
ママの注目は俺たち三人に嫌でも集まる。
どうせ最後の最後は決まってるんだ。
ハウスに火をつけて、今夜逃げる。
「エマ、足はいいか」
「もちろん！」
すくっと立ち上がるエマ。
さすがだ。
俺は灯油をまきはじめた。
「あれ、でもママが燃える建物を放置したら」
そう、そうしたら終わり。
だから…………。
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レンスイ(プロフ) - 随分前に感想依頼頂いた者です！ とても面白い作品が拝見でき嬉しかったです！ 感想は私の作品で書いてあるので、目を通していただけたら嬉しいです。ありがとうございました！ (2019年5月25日 17時) (
レス) id: 85db579f44 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 33話の『エマはニッコリした』を『エマは怪しい笑みを浮かべた』にしたらどうでしょうか？ (2019年3月30日 17時) (レス) id: 297e0956e6 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 主人公と誕生日被ってました！この小説ミスが無いし文は読みやすいしで最高ですね！ (2019年3月21日 1時) (レス) id: 1a221874dd (このIDを非表示/違反報告)
まこと - コニーが出荷される日に初めてカロが眠れなかったり、出荷された翌日に食欲がないのと3日も寝込むのはママ視点からしたら怪しすぎる (2019年3月13日 19時) (レス) id: f89bfe1a17 (このIDを非表示/違反報告)
?aksn?(プロフ) - 夢主の誕生日と私の誕生日が一緒で驚きました笑これからも頑張ってください！ (2019年3月10日 13時) (レス) id: e6b7d8f455 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 x他1人 | 作成日時：2019年1月4日 18時
