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「決まりだ。明日お前は壁に上って逃げたフリをする」
レイが話をまとめた。
ノーマンがどこからともなく、望遠鏡を取り出す。
「ついでに下見もしてこよう。警備が軽い内に済ませておいたほうがいい」
「だね」
『でもどこに隠れるの？森の中しかないだろうけど、もう冬だよ。夜は冷える。事前に毛布を用意しよう』
あとは食料。
脱獄決行日までにノーマンが生きられるだけの食料が必要だ。
ふとノーマンが思い出したように言う。
「気になっていることと言えば、レイ。これ前にも一度聞いたんだけど………。
レイはいつどうやって"秘密"を知ったの？」
そうだ、普通は気づかない。
幸せな暮らし、誰も疑わない。
現に例外(私)以外誰も気づかなかった。
どうやって…………。
「それは…………最初からだよ。"幼児期健忘"って知ってるか？ヒトは誰しも知らぬ間に赤ん坊の頃の記憶をなくしてる。これが幼児期健忘。
でもごくまれにこれが起こらない人がいるらしい。俺には胎児の頃からの記憶がある」
母親のお腹の中にいる記憶。
生まれて発信器を埋められた記憶。
鬼の恐ろしい顔の記憶。
暗いトンネルを通ってやって来た記憶。
「………孤児院にくる前の一年………」
「そう、俺がいたのは本部。これでわかっただろう。"本部"と"近接する５つの飼育場"。それがこのグレイス=フィールドハウス」
胸がざわついた。
６年どころじゃない。
レイはずっと戦ってきたんだ。
自分の"記憶"と目の前の"現実"との違いに。
ずっと気づいて、笑顔で振る舞ってきた。
『っ、レイ』
「え…………ちょ、A！？」
あわてふためく声がする。
けどお構いなしに抱きついた。
何が"一人で抱え込むな"だ。
レイのほうがよっぽど精神的にきつかったくせに。
『馬鹿』
「…………お前には言われたくないな」
『人のこと言えないくせに』
クスッと笑いが漏れる。
結局はお互い様ってわけだ。
…………"幼児期健忘"。
私にもそれがなかったということ？
でもレイのようにはっきりと覚えているわけではない。
私がいた場所は、どこ？
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レンスイ(プロフ) - 随分前に感想依頼頂いた者です！ とても面白い作品が拝見でき嬉しかったです！ 感想は私の作品で書いてあるので、目を通していただけたら嬉しいです。ありがとうございました！ (2019年5月25日 17時) (
レス) id: 85db579f44 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 33話の『エマはニッコリした』を『エマは怪しい笑みを浮かべた』にしたらどうでしょうか？ (2019年3月30日 17時) (レス) id: 297e0956e6 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 主人公と誕生日被ってました！この小説ミスが無いし文は読みやすいしで最高ですね！ (2019年3月21日 1時) (レス) id: 1a221874dd (このIDを非表示/違反報告)
まこと - コニーが出荷される日に初めてカロが眠れなかったり、出荷された翌日に食欲がないのと3日も寝込むのはママ視点からしたら怪しすぎる (2019年3月13日 19時) (レス) id: f89bfe1a17 (このIDを非表示/違反報告)
?aksn?(プロフ) - 夢主の誕生日と私の誕生日が一緒で驚きました笑これからも頑張ってください！ (2019年3月10日 13時) (レス) id: e6b7d8f455 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 x他1人 | 作成日時：2019年1月4日 18時
