19 ページ19
「でもこの１０日余りでママの手の内が見えてきた」
鬼ごっこの休憩中。
四人で集まっているとき、ノーマンがそう言う。
意味がわからないのはエマだけみたいだ。
「どういうこと………？」
「結論から言うと、ママは"標的"が最年長四人…………正確にはエマと僕にレイが加わったと既に"特定"できていると思う。Aはまだ大丈夫だと思うんだ」
「特定？見当や疑いじゃなくて？」
「特定だね」
『シスターの使い方からわかるよ。シスターはあくまでも"全体"の監視の強化をしている。標的が特定できてないのなら、疑わしい最年長をマークするでしょ』
「その上でママは僕らを好き放題動かしてる」
そこでピンと来た。
ノーマンは疑っているんだ。
私とレイを。
ノーマンらしいと言えば、ノーマンらしい。
けど、
「発信器からは何の断定もできないはず。それに特定してるからって好き放題動かしておくなんて…………」
「既に他に見張りがいたら？ノーマンが言いたいのはそういうことだろう。シスターにマークされる必要もない。
子供たちの中に内通者がいる」
「いや、そうとは限らない。無自覚にママへ情報を流している場合もあるだろうからね。厳密にはママの情報源。情報源を利用した標的の把握と制御。それが恐らく………」
ママの策の実際。
まあ、レイなんだけどね。
レイはうまい芝居をとっている。
「この先情報源を見つけるとして、ドンとギルダを引き入れる話は？もし二人が………」
「問題ない。情報源のあぶり出しと二人を引き入れることは同時にできる。スパイならこちらの切り札にもなる。
既に網も張った」
『ノーマンっ！！』
思わず私は叫んだ。
ビックリしてみんなが私を見る。
けど気にしない。
『………ノーマン、私が今、何を言いたいかわかる？わかってるよね』
「………うん」
『その頬、はったおしたい』
「だろうね」
『でもしないよ。けど怒ってるからね』
レイとエマは訳がわからないみたいだ。
ノーマンは、ノーマンは………。
「脱獄は１０日後に決行しよう」
計画も、尻拭いも、何もかも。
自分を犠牲にするつもりだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 538人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レンスイ(プロフ) - 随分前に感想依頼頂いた者です！ とても面白い作品が拝見でき嬉しかったです！ 感想は私の作品で書いてあるので、目を通していただけたら嬉しいです。ありがとうございました！ (2019年5月25日 17時) (
レス) id: 85db579f44 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 33話の『エマはニッコリした』を『エマは怪しい笑みを浮かべた』にしたらどうでしょうか？ (2019年3月30日 17時) (レス) id: 297e0956e6 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 主人公と誕生日被ってました！この小説ミスが無いし文は読みやすいしで最高ですね！ (2019年3月21日 1時) (レス) id: 1a221874dd (このIDを非表示/違反報告)
まこと - コニーが出荷される日に初めてカロが眠れなかったり、出荷された翌日に食欲がないのと3日も寝込むのはママ視点からしたら怪しすぎる (2019年3月13日 19時) (レス) id: f89bfe1a17 (このIDを非表示/違反報告)
?aksn?(プロフ) - 夢主の誕生日と私の誕生日が一緒で驚きました笑これからも頑張ってください！ (2019年3月10日 13時) (レス) id: e6b7d8f455 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翡翠 x他1人 | 作成日時：2019年1月4日 18時
