立つ鳥跡を残さずⅢ【wr/wr/d】 (ページ18)

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Cチームページ18

私は、グルッペンとトントンさん、我々国の兵達と一緒に、クラヴァルド城北棟へ乗り込んだ。
ここでは、今日、我々国討伐に向けての会合が、秘密裏に行われているはずだ。勿論、参加しているのはこの国の王だけではない。この件に加担している貴族も参加しているのだ。

その会合と合わせて乗り込むことで、この国の王と、有力な権力者を同時におさえることができる。そうすることにより、クラヴァルド全体をおとしやすくなるのだ。

｢北棟はほぼ制圧完了だ。しかし、あの部屋にいる連中だけは何も知らない｣

どこか楽しそうに言うグルッペンを、半ば呆れの気持ちで見つめ返す。

｢こんな面倒くさいこと……一国の頂点が暇人過ぎやしませんか｣
｢お前のためだ。いったい何が不満なんだ｣
｢それがわかってるから、本気で責められないんです｣

私の返しに、彼は屈託のない笑い声をあげた。よもや、彼が我々国の総統だとは、誰も思うまい。

｢グルさん、準備が整ったで｣

件の部屋の近くで待機していた私達は、トントンさんの声で移動を始めた。
その間、グルッペンとトントンさんは今回のことについて話し合っていたが、トントンさんが私の方を見ることは1度もなかった。

まだ怒ってるのかなぁ。グルッペンの契約を受け入れるなら、トントンさんと関わることも多くなるだろうし、早めに謝った方がいいかも。
そんなことを滾々と考えていると、目的の部屋に着いた。

｢どうぞ｣

トントンさんがドアの前で横にはけ、手で、部屋に先に入るようにグルッペンを促した。
グルッペンは、ドアの前まで足を進めたが、そのままの体勢でフリーズした。何か声をかけようとしたとき、トントンさんの口が微かに動いた。
どうやら、何かを呟いたようだ。

それを聞いたグルッペンは、今度は分かりやすく、ゆっくりと頷く。まるで何かを諭しているかのように。
そして、首を傾げている私に、グルッペンは振り返り、声をかけた。

｢いいか、A。この部屋の中には、お前と血縁関係のある奴が3人いる。誰かは言わなくとも分かるな？｣

私は、大きく頷く。彼の言う3人とは、かつての父母、そして叔父のことだ。
私が理解していることを確認した彼は、一呼吸おいてから、また話し始めた。

｢そいつらは、今、我々国の兵が拘束している。言いたいことがあるなら言えばいい。表立って問題になるようなことさえしなければ、あとは煮るなり焼くなり好きにしろ。だが、怖いならこの部屋を出ていっても構わない｣