合流？ ページ14
朝早く、グルッペンからの連絡が鬱さんの端末に入った。どうやら、クラヴァルドに着いたとのこと。
それを受けて、私達は、彼らが今いるという場所まで向かっている。
私達が乗っている荷馬車を走らせているのはひとらん。あとでお礼を言わなければいけないなぁ、と呑気なことを考えているが、チーノ達はそれどころじゃないらしい。
ひとらんは、グルッペン達のいるところまで最短ルートを、できる限り最速で荷馬車を走らせているのだが、それが原因のようだ。森の中の、あまり舗装されていないガタガタの道を通っているせいで、荷馬車の中は、かなり揺れるのだ。
「ﾅﾝﾃﾞｺﾝﾅｺﾄ短期間ﾃﾞ2回ﾓ経験ｼﾅｷｬﾅﾗﾝﾉ」
「大先生ﾒｯﾁｬ棒読ﾐﾔﾝ」
「ｼｬｵﾁｬﾝﾓﾅ」
「ﾊﾊﾊ」
「ぅ"え"……」
「コネシマさん?!今吐かんとって……おぇ」
4人とも、乗り物には酔ってしまうタイプのようで、酷く辛そうだ。
何か声を掛けようと口を開いた。が、第一声が出る前に、体が思いっ切り荷馬車の進行とは逆方向に引っ張られるような感覚。
｢わっ｣
それに抗うことはできるはずもなく、バランスを崩した私は、青い顔の4人がいるところへ、背中を向けたまま頭から一直線に――
｢え、ｺﾞﾌｯ｣
｢ﾌﾞｯ｣
目をぱちくりさせていると、荷馬車の中にひとらんが顔を覗かせた。
｢着いたよ……何やってんの｣
彼の声で我に帰り、体勢を直すため上半身を起こそうとすると、後頭部に柔らかな感触。
頭を軽く仰け反らせて後方を見ると、相変わらず青い顔で前を向き、汗をダラダラと流している鬱さんの顔。ということはこれは……鬱さんのお腹？！
｢す、すみません！｣
急いで体を起こし、鬱さんの方を向く。
すると、彼は自身のお腹に手を当て、ゆっくりと私の方を見た。
｢あー、大丈夫大丈夫……｣
口ではそう言うものの、その声に覇気が無い。
さらに、鬱さんをよく見ると、後ろの方から誰かの手足が見えている。ギョッとして後ずさると、彼の陰から見えたのは、金色の短髪。
あぁ、コネシマも巻き込まれたのか。
荷馬車の壁と鬱さんに挟まれた彼の体は、だらんとしており、顔には薄ら笑いを浮かべている。気持ち悪かったのも、痛かったのもわかるが……なんというか、不気味だ。
と、鬱さんは急に立ち上がり、口を手で抑えた。
｢ｳﾌﾟｯ、ちょ、ごめん、ちょっと俺、お手洗いに……！｣
鬱さんはそう言うと、顔面蒼白で、慌てて荷馬車から降りていった。
｢……何あれ｣
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snow@エミさん推し - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！ (2020年1月13日 5時) (
レス) id: a79ef504eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫片くん | 作成日時：2019年8月6日 20時
