愛すること、愛されること。 ▽23歳 春 ページ35
・
A「侑李くん退院おめでとう！」
侑李「うん！ありがとうA！」
まだ完治とは言えないけれど、奇跡としか言いようのない
大きな回復力を、小さな侑李くんは持っていた。
余命宣告は、一年、三年、とのびていき、
手遅れだと言われた体は今や手術ができるようになって。
そして、手術をすればこの病気は完治する。
嬉しかった。
心の底から。
...でも、母親は。
この子の母親は、ちゃんとこの子を愛してくれるのだろうか。
ふと脳裏に侑李くんのお母さんの顔が浮かんだその瞬間、
病室のドアが勢いよく開いた。
侑李「ママ！」
「侑李...！...よかった、ほんとによかった...」
真っ先に駆け寄って、小さな体を包み込むお母さん。
驚いた。
この子の母親が愛情表現をするところを、見たことがなかったから。
A「...お母さん、おめでとうございます」
私が遠慮がちにそう声をかけると、
いきなり頭を下げる侑李くんのお母さん。
「ごめんなさいっ！...私、弱っていく侑李の姿を見るのが怖くて...
過去に弟を病気で亡くしたことがあったからもう、同じ思いしたくなくて」
涙声で必死に訴える侑李くんのお母さんのその表情を、
初めて見た。
美人で、侑李くんに似てるけど。
...涼介とよく似た、どこか哀しげな目をしている。
「侑李から逃げたんです...綺麗な洋服を着れば、もっと夜の仕事を頑張れば
侑李のことを忘れられるんじゃないかと思って...でも、この子は...！」
その先は、聞かなくてもわかった。
侑李くんに何度もごめんね、ごめんね、と詫びる姿を見て、
このお母さんも侑李くんと同じくらい戦ってたんだなって。
でも、
A「...侑李くん、ひとりで、たった一人で頑張ったんですよ。あなたが
買い物をしている間も、仕事をしている間も、たった一人で」
侑李くんを一人にしたことはどうしても許せそうになかった。
「...ごめんなさい。でも、あなたがいてくれて本当によかった。侑李は
いつもあなたの話をしてて...っ。...本当に、ありがとう」
A「そんな、私は何も...」
..."あなたがいてくれて"か。
施設に入ってから、私は時々自分の生きる意味が分からなくなるときがある。
でも、その答えを、今ようやく見つけられた気がした。
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もちてぃな(プロフ) - 赤花さん» わ、こっちにもコメントありがとう！この作品はよくしんみりとした感想をもらってたから、自分がこんな作品でにやけさせることができてることにびっくりです(笑)最高だなんてありがとう...！！(´;ω;｀) (2017年6月27日 23時) (
レス) id: 9f843be52f (このIDを非表示/違反報告)
赤花(プロフ) - きゃあーー！完結おめでとうーー！きまぐれポイズンベリーの更新もがんばってね。ふふっ・・・。顔がにやけすぎてやばい・・・笑。もちてぃなちゃんの作品最高！うふふ (2017年6月27日 16時) (レス) id: cea59cff2d (このIDを非表示/違反報告)
想空 - そうだね笑 (2017年4月26日 22時) (レス) id: 3194c34b22 (このIDを非表示/違反報告)
もちてぃな(プロフ) - 想空さん» うちらはまだまだ若い分類だから大丈夫(笑) (2017年4月17日 17時) (レス) id: 9f843be52f (このIDを非表示/違反報告)
想空 - 自担の誕生日ってファンにとってはかなりの記念日だよね！ 26歳かぁ… その若さとルックス、分けて欲しい笑 (2017年4月16日 21時) (レス) id: 3194c34b22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちてぃな | 作成日時：2017年4月4日 21時
