釘付け ページ21
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先輩が選んでくれたのは繁華街のビルの7階にある小洒落たスペインバルだった。
私たち2人を店の前でおろすと
「腹減ってるからなんか適当に頼んどいて。でさ，先始めててよ」と先生は言った。
黒い革張りのソファに先輩と向かい合い，
「二宮先生は何がお好きですかねぇ」
「生モノが嫌いってのは聞いたことある」
「昼はラーメンばっかりですしねー」
ああでもない，こうでもないと言いながら摘むものをオーダーした。
大きな窓からは東京タワーが見える。
先生のうちは，このすぐ近くだって言ってた。
もしかしたら同じ夜景を毎晩見ているのかもしれない。
プライベートの先生を知ったような気がして嬉しい。
15分ほどして二宮先生が「お待たせー」と店に現れた。
私たちの飲み物を見て「俺もビールちょうだい」って店員さんに声をかけると，躊躇なく私の左隣に座った。
「あっちぃね」と着ていた薄手のセーターを脱いだので
Tシャツが捲れて白い背中が露わになってドキドキする。
カンパーイ！と言ってグラスビールを一気に半分ほど空けて
「くーっ」 堪らないって顔で「うめー」と呟いた。
私は，先生の上下に動く喉仏に見とれていたから
「ん？なに？」って顔をされて慌てて首を横に振った。
「どう？整形は楽しい？」とか「でもお前はよく頑張ってるよね」とか
ポツ，ポツ，と話しかけてくれる先生。
半分以上は「楽しいだろ？ねぇ，A？」とか「こいつは根性あるからヘイキっすよ。大学の時だって…」
とか，有岡先輩が代わりに返事して，
大学のテニス部時代の思い出話なんかを勝手に始めちゃって
私は恥ずかしくてビールをちびちび飲み続けてたし
二宮先生もニコニコ笑いながら先輩の話を聞いていた。
先生はビールが好きみたいだけどすぐに赤くなるようで
白いTシャツの大きく開いた胸元がピンク色になっている。
賑やかな店内
いつもよりちょっぴり高い，少し舌足らずな話し声
私の話が聞こえづらいと「ん？」と顔を近づけて聞き返す仕草とか
その時に不意に香る香水のにおいとか
有岡先輩には申し訳ないけど，私の五感のすべてが先生に釘付けだった。
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にゃのこ(プロフ) - keiさん» keiさん、コメントありがとうございます^_^ 好きって言っていただいて嬉しいです！他作品も古いお話が多くてお恥ずかしいのですが楽しんでいただけたら幸せです！ (2020年7月25日 19時) (
レス) id: 64fd571976 (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - にゃのこさん、はじめまして。この二宮先生がとても好きです。情景が浮かぶ文章が好きです。他のお話も今から読んできます！これからも楽しみにしています。 (2020年7月24日 17時) (レス) id: b8ead91f6d (このIDを非表示/違反報告)
にゃのこ(プロフ) - 芙咲子さん» 芙咲ちゃーーん。お久しぶりなのに遊びにきてくれてありがとうー(≧∀≦) 私も今が一番しんどいー先生に優しくされたい〜笑 (2020年7月24日 17時) (レス) id: 1ae30313a8 (このIDを非表示/違反報告)
芙咲子(プロフ) - にゃのこちゃーん！切ない。二宮先生に素っ気なくされるのしんどいです。でも、ドキドキしながら楽しみに更新待ってます。 (2020年7月23日 23時) (レス) id: 588e77ad1d (このIDを非表示/違反報告)
にゃのこ(プロフ) - ゆたかさん» ありがとうございますー(T T) 昔コメントいただいた時もすごく励みになったなーと懐かしく思い出しました！引き続きよろしくお願いしますー！ (2020年7月21日 15時) (レス) id: 4ce0b84102 (このIDを非表示/違反報告)
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